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テーマ:本日の1冊(3697)
カテゴリ:シェイクスピア全集 <全X>
“ヴェニスの商人” 評価:★★★★★
シェイクスピア全集。第10巻。 --- 梗概 ------------- 友人のために、ユダヤ人の金貸しシャイロックから借金をしたアントーニオ。その際、自分の身体の肉1ポンドを担保とした。アントーニオには、金を返せるはずだった。彼の商船が全て難破することがなければ・・・。アントーニオの財産が船ごと海に沈んだという知らせを受けたシャイロック。平生からアントーニオを嫌っていたシャイロックはこれ幸いと、アントーニオに担保支払いを迫る。裁判の場でも、シャイロックは自分の正当性を主張し、それは認められるのだが・・・。 ---------------------- 光文社古典新訳版を読んでからそれほど日がたっていないため、感想は前回と似たようなもんです。←手抜き(@^^)ゞ 何度読んでもおもしろいですね。ストーリー展開もオチも全部わかってても楽しめます。 これは勧善懲悪ものなのでしょうが、私には、アントーニオが善人とは思えません。だって、いくらなんでもシャイロックを口汚く罵りすぎですもん。人を人とも思わないような態度。そこにユダヤ人差別が滲み出ています。 反面、シャイロックもユダヤ人を絶対視しており、自分たちこそ真に優れた人間だと主張してますが。 でも結局キリスト教徒が勝つ。そこにキリスト教絶対主義が透けてみえますよね。 アントーニオは利子をつけてお金を貸すシャイロックをひどく軽蔑しています。そこにも私は違和感が。なんかキリスト教徒って理想ばっかりだなーーって思います。だって無利子で金貸すんだもん。ただのバカとしか言いようがないですけど、私にとったら(笑)無利子で金貸すなんてのは金持ちが施し精神でやること。 普通の人間はそんな危ないことはできない。自分の食い扶持も稼がなくてはならない。ならばどうするか?利子をつけて貸し付ける。それしかないですもんね。 まっ、シャイロックのやりかたはかなりあざといことも否定できませんが。 とまあ、無宗教の21世紀人間から見ると違和感を否めない部分が多々ありますが、それは書かれた時代が違うんだからしょうがない。 そんなものは当時の時代背景やらキリスト教教義を勘案すればさらっと流せます。その違和感をもってこの作品の評価を下げることはないし、下げるべきではないと思います。 だって、今の価値観を是と前提して、昔の作品に出てくる価値観を否定するなんてのはナンセンスですもの。 うーーん!!テンポよし、内容よしで最高です!!(*^m^*) === 108冊目 読了 === お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年10月09日 18時00分42秒
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