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テーマ:本日の1冊(3696)
カテゴリ:さ行 男性
“ナイフ” 評価:★★★★★
短編集。全5話。 --- 梗概 ------------- 「悪いんだけど、死んでくれない?」ある日突然、クラスメイト全員が敵になる。僕たちの世界は、かくも脆いものなのか!ミキはワニがいるはずの池を、ぼんやりと眺めた。ダイスケは辛さのあまり、教室で吐いた。子供を守れない不甲斐なさに、父はナイフをぎゅっと握りしめた。失われた小さな幸福はきっと取り戻せる。その闘いは、決して甘くはないけれど。坪田譲治文学賞受賞作。 ---------------------- ほぁ~~~~~~~~(´_`。) しげまっつぁ~~~~~~~~~~ん(´_`。) あなたって人は・・・なんてすごい作家なのでしょう・・・。 まず感性がすごい。そして、その感性をストーリーにし、情感あふれる文章に仕上げられるのがまたすごい。 彼を天才と言わずして、世の中に天才がいるだろうか? 重松さんって、いわゆるステレオタイプでオーソドックスな解答は絶対使わない。そのもっと奥を抉りだすのです。 理想論や皮相的な見方なんて重松さんは絶対使いません。 表層に現れるもののさらに奥深くから、ほじくりだしてくるんですよっ(ノ◇≦。) そこにあるのは、決して希望だけじゃない。目をそむけたくなるようが現実や、救いようのない現実。理不尽。不条理。そういったものが混沌となり、澱のように存在している。 その澱をそっと掬いあげてくるのがうまいんですよね。 本当は誰も澱なんてみたくないし、知りたくない。ないと思いたい。表面のきれいなものだけみていたいし信じたい。 でも、重松さんは決してそこから目をそむけない。真正面から澱に向き合うのです。そして、澱の中から、ほんの少しの希望を見出すんですよ。 嫌なことから目をそむけ、きれいごとや理想論ばかりを口にする。それは楽だけれど、何の解決にもならないのです。それは単なる糊塗にすぎない。 私は、大きな鍍金よりも、汚泥の中にある、目をこらさなければ見えないほどの小さな砂金の方がいい。あるかどうかもわからないし、探すのも大変。 でも、だからこそそれがみつかったとき、人生は深みを増すし、人は成長するのだと思う。 やりきれないことはたくさんあるけど、そのやりきれない中でほんの少しだけでも何かが変わればいいんです。何も大きくド派手に変える必要なんてないし、そんなことは無理。 理不尽や不条理はなくせないけど、その中で何か少しでも変えられたらいいんだと思う。それは周りからみれば何も変わってないようでもいいんです。自分自身が少しでも変わったなら。 あぁ~重松さんの本はホントコスパが高すぎてびっくりしますヾ(*゚∇^*)ノ 下手な啓蒙書や哲学書よりよっぽど人生について考えさせられます。 === 50冊目 読了 === お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年09月04日 20時54分50秒
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