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本の足跡

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2011年01月20日
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テーマ:本日の1冊(3696)
カテゴリ:た行 男性

 6時間後に君は死ぬ

評価:★★★★☆

 

連作ミステリー短編集。全6話。

--- 梗概 -------------

6時間後の死を予言された美緒。他人の未来が見えるという青年・圭史の言葉は真実なのか。美緒は半信半疑のまま、殺人者を探し出そうとするが─刻一刻と迫る運命の瞬間。血も凍るサスペンスから心温まるファンタジーまで、稀代のストーリーテラーが卓抜したアイディアで描き出す、珠玉の連作ミステリー。(「BOOK」データベースより)

-----------------------

今、自分はどこにいるのだろう。どこへ向かえばいいんだろう。生きていくための道しるべが欲しい。

(P232より)

 

『ミステリー』とありますが、ほぼファンタジー?ファンタジー嫌いの私ですが、これはかなり好きです!!

特に好きだったのは、以下2話。

 

『恋をしてはいけない日』 

彼氏がいない期間がないというくらい常に恋愛をしている主人公、未亜(みあ)。そんな彼女がめずらしく次の恋人を確保する前に彼氏を振ってしまった。それ以来なぜか彼氏ができない日々が続く・・・。そんなある日、未来が見えるという圭史という青年に未来を見てもらうことになり・・・。

自分は臆病だったんだ。人を好きになっても、いつも怯えてた。いつかは嫌われるかもしれない。捨てられるかもしれない。未亜は相手ではなく、自分自身を愛していた。自分のことしか考えてない恋愛をしていた。  (P200より)

 

初めて本当の恋を知った主人公を待ち受けていたのは、不可避の悲しい結末だった。それでも、未亜はようやく本当の愛の意味を知ることができるのです。なんかきゅっと胸が苦しくなるけど、それでも希望が持てるお話でした。

ただ、展開はすぐ読めちゃったけどね(笑)

 

 

『ドールハウスのダンサー』

プロのダンサーを目指す主人公。なかなかオーディションに受からず、先の見えない人生に焦燥感ばかりが募る日々を過ごしていた。悶々とする日々の中、時折自分の未来が見えるようになる。これは、既視感?予知?不思議な能力の正体は・・・。

未来が薔薇色なのかどうかは、頑張ったところで誰にも分からない。逆に、頑張れば頑張るだけ、間違った努力をしているんじゃないかとか、これまでの苦労が徒労に終わるんじゃないかとか、焦る気持ちだけが強くなっていく。報われるのは、ほんの一握りの人間だけなのだ。  (P232より)

 

これーーー!!めっちゃ好きでした。

『夢は必ず叶う』なんて子供騙しを信じるほど若くもなく、現実を知り過ぎてしまっている主人公。

夢を追い続けるべきなのか?人生の岐路に立たされた主人公が選ぶ道は・・・。

いいよっいいよっ!!めっちゃ好き!!夢は追い続ければ叶うなんて嘘っぱち。夢をつかめるのはほんの一握り。大半は夢破れ、現実世界に戻っていくんです。

ただ、この話はそこで終わらない。夢を諦めるってことは、決して負けることでも逃げることでもない。

人生は色んな選択肢があって、夢という道を歩んでもいいし、違う道を選んでもいい。そこにはまた別の幸せが待っているんだって教えてくれる。それは決して妥協や諦念の道を選んだってことではない。

夢追い続けることが素晴らしくて、夢に見切りをつけて別の道を歩くことは諦めることなんだって思われがちだけど、別に夢を追い続けることが王道で立派なんてことはまったくなくて。

夢に見切りをつけることは、また新しい道を選ぶっていう素晴らしいことだと思います。夢は所詮夢ですから。曖昧なもので、甘い響きに目がくらむけど。別の道でまた次の目標みつけて幸せつかめばいいのです。

あぁーーーすんごい好きだわこの話(*´ω`*)

 

全体としては、未来は自分の力で変えられるっていうありがちなテーマですけど(笑)1話1話はとても含蓄があって、嘆息がもれます。

=== 5冊目 読了 ===






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最終更新日  2011年01月20日 18時40分21秒
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