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テーマ:本日の1冊(3698)
カテゴリ:ノンフィクション
評価:★★★★★
--- 梗概 ------------- 1910年、第6号潜水艇の艇長として、山口県新湊沖で潜航訓練中、艇が故障し沈没、13名の艇員とともに殉職した佐久間勉。死の直前に書かれた遺書は、夏目漱石が名文と激賞し、与謝野晶子が追悼歌を十余首も詠んだ。その遺書をここに掲載。(「BOOK」データベースより) ----------------------- 二月は逃げる・・・。よくいったものですね。
こんな日本人がおられたことを知らずに生きてきたとは・・・。感無量です。素晴らしい。小学校の教科書に載せるべきですね。 佐久間勉大尉と13名の艇員が潜航訓練中に潜水艇が故障により沈没、全員が殉職したといういたましい事故。 事故から二日後に海中からひきあげられた潜水艇。ハッチを開ける際、遺族は潜水艇の中をのぞけないような配慮を受けた。なぜならば、その頃海外で起こっていた潜水艇の沈没事故では、誰もが我先に脱出しようハッチに向かい、そこで息絶えているというのが通常だったから。 そのような惨状を覚悟してハッチを開けるも、そこには誰一人いない。 第六号潜水艇の艇員は、みな己の持ち場を離れることなく、最後の最後まで職務を全うしていたのだ。 さらに驚くべきは、潜水艇の艇長佐久間大尉は、光もほとんどなく、ガスが充満し息苦しくなり、刻々と死が近づくなかで、遺書を認めていたのだ。 内容がまたすごい。なぜ潜水艇が沈没にいたったかの分析・事故後の対応。他の艇員に関すること。世話になった人々への謝辞。そういったことが書かれている。そして、特筆すべきは、私的なことは一切書かれていないという点だと思う。 すばらしい。これは、公という観念を持ち、縦のつながりを大切にする姿勢が身に付いているからこそできたことだと思う。現在は、自分がよければそれでいいという意識が蔓延しており、公がないがしろにされている。自分の祖先や子孫のことを考えられる人が減り、重視されるは縦のつながり=歴史ではなく、横のつながり=現在ばかり。 そんな多くの現代人には決してできないであろうと思う。もちろん私もだが。 大切な国の財産である潜水艇を沈めてしまったことに対する謝罪。この事故で委縮し、潜水艇の研究が先細ってしまわないで欲しいという切なる願い。大尉が認めた事故原因を参考にし、潜水艇技術発展のためにさらなる研究を重ね、そしてよりよい潜水艇を作って欲しい。とまで書かれている。 こんな気骨のある日本人がいたことを知り、また一つ日本人であることに誇りを持つとともに、後世に恥じるような生き方はできないと切に感じた。 非常に感銘を受けた一冊です。この本はもう絶版なのかな?手に入りにくい状況ではあります。しかし、佐久間勉大尉について書かれた本は他にも多数出版されておりますので、何か一冊手に取られてはいかがでしょうか? === 26冊目 読了 === お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年02月18日 00時47分25秒
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