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テーマ:本日の1冊(3696)
カテゴリ:や行 男性
評価:★★★☆☆
長編。 --- 梗概 ------------- 通り魔事件によって娘の命は奪われた。だが犯人は「心神喪失」状態であったとされ、罪に問われることはなかった。心に大きな傷を負った男は妻とも別れてしまう。そして事件から4年、元嫁から突然、「あの男」を街で見たと告げられる。娘を殺めた男に近づこうとするが...。人の心の脆さと強さに踏み込んだ感動作。(「BOOK」データベースより) ----------------------- 深い関係になると怖くなるくせに、相手が離れていこうとすると手放したくなくなる。 (P53より)
1 心神喪失者の行為は、罰しない。2 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。 刑法39条をテーマにした一冊。 大切な家族を殺した男は、心神喪失で罪に問われることなく野に放たれた。残された被害者家族のやるせない感情を描いている。 そもそも不可視の問題である、精神の正常・異常を誰が判断するのか?正常と異常の境目はどこなのか? 人を殺す者は、少なくともその時点でまともとは言えないのではないのか?詐病の問題はどうか? 心神喪失者が犯した罪はどこへ行くのか?誰も罪に問われないなら、被害者遺族の感情はどこへ行くのか? 様々な問題を内包する刑法39条にスポットを当てているので、楽しみに読んだ。 ・・・が。どれも問題を掘り下げられていない。 様々な問題に触れてはいるが、どれもさらりと通りすぎるだけで、掘り下げられることもなく、問題点に対する作者の思いが描かれることもない。 中途半端な印象を受けた。中途半端に触れるだけでは消化不良もいいところで。 読後は、太田胃散が欲しくなった(笑)もやもやを残し、消化しきれぬ一冊でした。 === 66冊目 読了 === お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年05月21日 15時04分37秒
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