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本の足跡

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2011年05月21日
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テーマ:本日の1冊(3696)
カテゴリ:や行 男性

 虚夢

評価:★★★☆☆

 

長編。

--- 梗概 -------------

通り魔事件によって娘の命は奪われた。だが犯人は「心神喪失」状態であったとされ、罪に問われることはなかった。心に大きな傷を負った男は妻とも別れてしまう。そして事件から4年、元嫁から突然、「あの男」を街で見たと告げられる。娘を殺めた男に近づこうとするが...。人の心の脆さと強さに踏み込んだ感動作。(「BOOK」データベースより)

-----------------------

深い関係になると怖くなるくせに、相手が離れていこうとすると手放したくなくなる。

(P53より)

 

1 心神喪失者の行為は、罰しない。2 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

刑法39条をテーマにした一冊。

大切な家族を殺した男は、心神喪失で罪に問われることなく野に放たれた。残された被害者家族のやるせない感情を描いている。

そもそも不可視の問題である、精神の正常・異常を誰が判断するのか?正常と異常の境目はどこなのか?

人を殺す者は、少なくともその時点でまともとは言えないのではないのか?詐病の問題はどうか?

心神喪失者が犯した罪はどこへ行くのか?誰も罪に問われないなら、被害者遺族の感情はどこへ行くのか?

様々な問題を内包する刑法39条にスポットを当てているので、楽しみに読んだ。

・・・が。どれも問題を掘り下げられていない。

様々な問題に触れてはいるが、どれもさらりと通りすぎるだけで、掘り下げられることもなく、問題点に対する作者の思いが描かれることもない。

中途半端な印象を受けた。中途半端に触れるだけでは消化不良もいいところで。

読後は、太田胃散が欲しくなった(笑)もやもやを残し、消化しきれぬ一冊でした。

=== 66冊目 読了 ===






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最終更新日  2011年05月21日 15時04分37秒
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