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January 29, 2021
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テーマ:読書(8489)
カテゴリ:読書
反ユダヤ本を書いただけで投獄までされたセリーヌ。
亡命三部作は、実に悲惨な境遇でありながら、ユーモアに溢れた描写がされています。
そんなセリーヌの実感がこもった箇所を引用します。

 人生のたそがれになすべきことは、誰にも会わずなにも語らないことだ、もう知りつくした……裏も表も、頭も尻の穴も……もうあんまりひどい目に会いすぎた……

もう1つ。

負傷のおかげで自分は大丈夫だと思ってる!とんでもないこった!私だってそれについちゃ、少しは彼に教えてやることもできた……どこの国だって同じこと!……殺し合いが終わったと?……ラッパ鳴らして、旗を掲げて、幕!……生き残り整列!沈黙!天使…そうして獄房さ!

奥さんのリリ、猫のベベール、俳優である友人のラ・ヴィーグとの長い旅でした。
猫のベベールがムードンで亡くなった話が出てきます。
以下引用です。

……それにベベールは?……ベベールの声らしい……呻ってる……もう若かない……彼はあれからまだ七年生きた、ベベールは、私は彼をここ、ムードンまで連れ帰った……彼はここで死んだ、牢屋だの、野宿だの、灰燼だの、ヨーロッパ中であれからまだまだ色んな辛酸を舐めてから……死ぬまでしなやかで、優美で、ぴんぴんしてた、その日の朝でさえ、窓から飛んで出入りしてた……われわれなんぞお笑いさ、どいつもこいつも、生まれつきの老耄れだ!……


時評

上巻の巻末に時評が掲載されています。

p241 『北』時評 神戸仁彦訳
p242 バルダミュ再び孤軍奮闘記 -ジャン=ルイ・ボリー 『レクスプレス』1960年5月20日号
p245 セリーヌと『黙示録』 -モーリス・ナドー 『フランス・オプセルバトゥール』1960年6月9日号
p251 セリーヌの光輝と悲惨 -アンドレ・ルソー 『ル・フィガロ・リテレール』1960年7月9日号

『北』の本文でセリーヌがこんな事を書いていました。

批評家てのは、どの雑誌を見ても、いつもおんなじ間違いをしてるのが分かる、いつの時代も、必ず取り違いをやらかしてる……屁みたいな作品にばかり夢中になり、下らなきゃ下らんほどハッスルだ……

面白いです(^Д^)
もてはやされてる作品が良いとは限らないですね。こんなのが何故? て思う事ありますね。

モーリス・ナドー、アンドレ・ルソーはセリーヌをぼろくそに書いています。
ジャン=ルイ・ボリーの詩的な文が良かったです。
以下、引用します。

 バルダミュ再び孤軍奮闘戦──ジャン=ルイ・ボリー

ウィーン・オペレッタ風の背景のなかに暗殺のニュースが炸裂するバーデン・バーデンから、戦慄と集団ヒステリー、そして警察のわずらわしさがせめぎ合う悪夢の都ベルリンへ、そしてベルリンから、北へ百キロの城内にある「事務所」へと、駆り立てられながら、セリーヌは、妻のリリ、俳優のル・ヴィガン、猫のベベールをつれて、目のまわる舞踏会を先導したらしい。あの陰鬱な喜びを込めて、かれは、われわれの眼前に、シェークスピアやホフマンやフリッツ・ラングに似た世界を、開陳してみせる。

もう1つ。

 セリーヌの力 (真摯さ) は、ラブレーと同じく、自分の抒情に合った言語を鍛え上げた点にある。セリーヌ、それは本質的に、一つの息吹き、一つの文体──かれ自身によれば、「或る一寸した音楽」──なのである。かれは、語彙と文の構成と句読点のなかに、火山の噴火をもち込んだ。おののきのエクリチュール、色彩の嵐である『北』は、文体解放の道を、感情の生々しい表現へと、眩暈を正確に反響させる方向へと、さらに発展させたように思える。巧緻の果てに文構成法を「野生の状態」で使うことになったこの狂暴な文体と、まさにナチス・ドイツという名のアッシャー家の崩壊であったあの耳新しい粗暴な黙示録との結びつき以上にふさわしいものは、考えられないであろう。

──『レクスプレス』一九六〇年五月二十日号

下巻の最後にセリーヌのテレビインタビューが掲載されています。
次回サラッとですが、それを書いて終わりたいと思います。

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Last updated  February 13, 2021 05:06:16 PM
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