「一瞬の光」
作者:白石一文厚い長編だった。エリート企業戦士と、ふと知り合った女子大生との話が、どうなっていくのか、なかなか不思議な人間関係が繋がっていった。途中から、この2人は離れられないんだろう、ということはわかっていたけれど、断ち切ろうとする、あるいはそうではないと装う2人が、どのように自分自身の心に気がつくのか、それが気になるようになった。しかし後半、企業戦士の環境がずいぶん変わる。うーん、でもその部分が中途半端なままというのは、完ぺき主義の彼にしてはなんだか物足りない。そして、終了間際で心に決めたことも最後の最後にどんでん返しとなる。いや、その返しはあるんじゃないかと思っていたけれど、しかしその結末?それにはびっくり。主人公の彼がどうもつかみきれず、彼女もつかみきれないキャラクターだった。逆に回りの人間たちの生き方に引かれるところが多かったりして(企業での派閥だの汚職だのは好きではないけれど)。