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せーぐる

せーぐる

2004年07月27日
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カテゴリ:パンの知識
 気がつけば、半月も間をあけてしまいました。
 いつまでも、書かないわけにもいきませんし、ここに文章を蓄積するのが本来の活動目的なわけですから、きちんと、最低週1ペースぐらいで書いていきたいものですね。
 と、「週1ペース宣言」をしてみたところで、やっぱり、書けないときは書けないわけで・・・。
 現代の時間の流れはとても早いと感じていますが、やはり、私はそれに流されず、自分のペースを守って、「パンについての知識」を書いていきたいと思います。

 もちろん、上記は、遅筆の言い訳ですが・・・。(汗)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 自家製酵母についての第3回は、「自家製酵母の特性」について考えていきます。

 まず、自家製酵母とイーストの、根本的な違いとは何でしょう。

 それは、発酵と品質の安定性です。

 イーストは、純粋培養された酵母が安定した状態で供給されています。同じ銘柄のイーストなら、10グラム入れれば、イーストの品質が悪くなっていない限り、きちんと10グラムの効果が出ます。
 これが、安定性というものです。

 イーストは発酵に対して安定性を持っているのと比べ、自家製酵母は、発酵がかなり不安定です。
 それは、自家製酵母による発酵が、いろいろな酵母や菌などの活動が混合した「酵母と菌の共同作業」であることが理由です。

 自家製酵母のパンを作るには、まず「種起こし」から始めるわけですが、この時点で、何から種を起こすか、という選択肢が生まれます。
 そして、種を起こしてからも、それが強いか弱いか、という状況が起こります。もちろん、そこには、「パン酵母がどれだけ含まれているのか」という事と、「その他の細菌群は、どのようになっているのか」という事が由来しています。
 つまり、種を起こす所から、自家製酵母は不安定なものなのです。

 その不安定さの要因は、種起こしする材料にも由来しますし、種起こしの状況にも由来しますし、種継ぎの時の発酵時間や温度にも由来します。

 もし、それで、常に安定した「自家製酵母」を維持する為には、とてもたくさんの要素の「管理」が必要とされます。

 それほど、「自家製酵母」というものは、繊細なものなのです。

 しかし、その繊細な自家製酵母でパンを作るという事は、イーストでパンを作る事よりも、多くの事を考える必要がある事から、パンという食べ物についての理解を深める「最高の教材」とも言えるでしょう。自家製酵母で起こるトラブルを解決できるようになれば、イーストを使って、より美味しいパンを作る「知識と経験」を得る事になると思います。

 自家製酵母のパンは、基本的に伝統的な技法ですから、パン作りの基礎とも言えますし、長いパン技術の伝統を考える上でも、重要な要素とも言えるでしょう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 さて、自家製酵母の特性ですが、まずは、その自家製酵母の構成要素を考えていきましょう。

 まず、自家製酵母をきちんとした手段で起こすと、その自家製酵母には、パン酵母がいるはずです。そして、乳酸菌がいて、酢酸菌がいて、もしかすると、雑菌がいる可能性も考えられます。
 もし、パン酵母がいない場合には、パンにならない場合があります。つまり、生地は焼いてもは少ししか膨らまず、酸味や苦味だけの「パンらしきもの」になる、ということです。
 

 自家製酵母を使って作るパンは、基本的にイーストのパンと比較して、発酵時間が長くなります。
 意図的に、イーストを使用し「長時間発酵」を行う場合もありますが、それに関しては、後で触れる事になります。
 自家製酵母のパンが、イーストのパンより、生地に含まれるパン酵母の数が少ないことが、「長時間の発酵が必要になる」原因です。

 長時間発酵は、生地の熟成が進みますので、味わいに関して、メリットがあります。
 そして、「生地の熟成」とは、発酵によるガスの発生と発酵生成物の生成とは別の要素になります。同じ小麦粉を使用した食べ物である「うどん」の生地の熟成は、発酵を伴っていない、という点が、理解の糸口になると考えられます。

 その為、「長時間発酵」は、発酵により酵母から生成される「発酵生成物の旨み」と、生地の熟成による、「生地自体の旨み」が得られると考えることができるでしょう。

 短時間で作るパンには、どうしても生地の熟成が不足してしまうのですが、自家製酵母を使用することにより、知らず知らずに、長時間発酵になり、知らず知らずに、生地が熟成され、もちろん発酵による生成物の旨みも加わり、「自家製酵母独特」とも思える味わい深いパンを作ることが可能になります。

 何より、自家製酵母のパンの発酵では、乳酸菌や酢酸菌の発酵生成物をパンの味わいに加わることも、重要な点です。


 自家製酵母の特性とは、つまりこういうことになります。

・パンができあがるまで、長時間かかるため、生地の熟成が進む。
・乳酸菌と酢酸菌による、発酵生成物(有機酸)が独特の味わいや風味を生み出す。 

 上記2点が、自家製酵母の特性とも言えるでしょう。
 
 しかし、イーストを少量使用し、長時間発酵を行えば、「生地の熟成」は確保する事ができます。

 ですので、自家製酵母の最大の特性は、「パン酵母以外の菌の活動による発酵生成物の確保」という点が、もっとも重要な点であると考えることができます。

 次回は、自家製酵母における「パン酵母以外の菌の活動(乳酸菌と酢酸菌の活動)」について、考えていきたいと思います。





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Last updated  2004年07月28日 17時16分44秒
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