「あじましい人生」その十三
努力、努力、そして又、努力 単純で、明快なこのフレーズが人間の生き方の根本を指し示しています。努力無しには人は幸せには生きられない。この事を、リュウト君はどう思いますか?素直に賛成して、頷いてくれるでしょうか。それとも、そんなの詰まらないと、そっぽを向いてしまうでしょうか。エッちゃんはこれまでの自分自身の人生を振り返ってみた時に、自分は、エッちゃんは本当に「努力の人」だと思いますよ。誰から命じられたわけでもなく、ごく自然に、いつも前向きに、積極的に努力していた。そしてとても幸せだった。勿論、今現在も最高に幸福ですよ。何故、人は努力をしなければならないのでしょうか?「勉強しなさい、勉強しなさい!」と毎日お母さんから言われ続けている小学生や中学生が大勢いると聞いています。たとえばテレビゲームや携帯でゲームを楽しむのが、何故いけないことなのか?そういう子供達の多くがそんな素朴な疑問を持っていると、これもカッちゃんから聞きました。カッちゃんは学習塾の講師として毎日子供達と接していますから。簡単なようで難しいこの種の質問に、説得力ある大人の側からの返答が容易には返ってこない。だから、何故。如何していけないのか、と子供達は疑問を抱き続けるのですね。「問答無用。黙って、親の言いつけを聞きなさい!」とお母さんたちはヒステリーを起して叫びます。本当は、子供達は何もかも知っている。勉強をしなければならないこと。ゲームばかりしていてはいけないこと。大人たちは仕事をして、汗水を流して生活費を稼がなければ生きては行けないこと。でも、矢張り訊きたいのですね、何故そうなのか、と。どうして楽しい事、たとえばテレビゲームを楽しんではいけないのか?――この疑問に、今は直接回答を与える事を保留して、もう少し先に進んでから、適当な機会にまたこの難問に再チャレンジしてみるつもりです。リュウト君も、自分なりに心の中で考えを纏めておいて下さい。お願いします。 素晴らしい日本の演歌日本人には悪い癖があります。ガイジンに褒められないと日本や日本の文化について「実に素晴らしい!」と、素直に認められないことですが、その典型例が演歌と呼ばれる日本の大衆歌謡曲。ジャズが良い、シャンソンが素敵だ、クラシック音楽が最高に素晴らしい!などと、西洋の音楽に対しては素直にその素晴らしさ・魅力を手放しで褒め称える日本人が、自国のポピュラーソング・演歌に対しては、「いまいち」であるとか「ダサイ」とか「かっこよくない」などと一様に低い評価しか下さない。カッちゃんによれば日本の演歌は「世界一素晴らしいポピュラーソング」なのだとか。私、エッちゃんは音痴だし、難しいことは解からないのですが、手前味噌というか、カッちゃんの薀蓄を借りて、虎の威を借る狐宜しくこれから大演歌論を開陳してみようと思います。