ベッドメーキングおばあさん
今日いつものように母のマッサージをしていると、パタパタという微かな足音とカーテン越しに「フン・・・フン・・・」と声らしきものが聞こえてきました。母の部屋は4人部屋。動けるお年寄りは昼間は食堂に使っているフロアにいますので、部屋にいるのは寝たままのお年寄りです。この部屋でも母以外の人はいつもいないので、静かな部屋です。その中に「フン・・フン・・」と言う声。同じ部屋のお年寄りが戻ってきたのかな?・・・とも思いましたが、そんな独り言のような声を出しながら歩く人は居なかったはず・・・・気になったので閉めたカーテンの上の網の部分から覗いて見ました。すると一人のお婆さんが、誰もいない他の人のベッドの側で何かしていました。「何をしているんだろう・・・?」施設は認知症のお年寄りが多いですので、他の部屋に間違って入ったり、他の人の物を持っていってしまったりすることがあります。でも、そのお婆さんはちょっと違うようです。ずっと見ていると、どうやらベッドの布団を整えたり、雑誌や服などをたたんだりして片付けをしていました。一つのベッドが済んだら、また違うベッドへ行って綺麗に片付けています。きっとこのお婆さんは認知症なのでしょうがとても几帳面な方で、誰もいないベッド上が乱れているのが気になって仕方がないのでしょう。で・・・目に付いたベッドを順番に片付けて周っているのだと思いました。別に悪いことではないし、嬉しそうに鼻歌を歌いながらやっているので、ちょっと微笑ましいな・・・・・と思いましたが、それでも万一戻ってきた他のお年寄りとトラブルになってはいけないので、職員さんに知らせに行きました。お婆さんは、(せっかく見つけた仕事なのに・・・)ってちょっとガッカリした表情で職員さんに連れて行かれました。このお婆さんはとても綺麗好きな人だったんだな・・・・認知症になっても元々持っていた性格は変わらないんだな・・・・・お婆ちゃんも元気な頃は、私が掃除機をかけた後をクイックルワイパーを持って追いかけてきていたな・・・・って思い出しました。