テーマ:スローライフ(924)
カテゴリ:せいなるくらし
先日、ふと松下センセのことを思い出した。
松下センセとは、作家の松下竜一氏のこと。 彼の名を知っている人は少ないだろう。 私の人生が大きく変わるきっかけとなった作家である。 そうか。センセが亡くなって、もう2年経つのか。 調べてみると、6月17日が命日だった。 人間というものは、大事なことを大事なときに思い出すもんだなあ・・・。 はじめてセンセの本に出会ったのは、病院のベッドの上だった。 それは、「ルイズ・父に貰いし名は」という文庫本。 それがきっかけで、私はその本に登場する「ルイズ」こと伊藤ルイさん(大杉栄と伊藤野枝の四女)に、会いに出かけた(それ以降、ルイさんとは親しくさせていただいたが、1996年6月28日に亡くなってしまった)。 「ルイズ」の後、センセの本に再会したのは、なぜかパリの日本人向け書店にて。そこに平積みされていた、「文藝」という雑誌に載っていた「狼煙を見よ」を読み、私の人生が変わってしまった。 過激な作品もたくさん書かれたセンセだったが、私が一番すきなのは「潮風の町」。 今はもう絶版になっているのだろうか。 私があこがれてやまない「ちいさなくらし」「せいなるくらし」の原点は、たぶんセンセの思想の元にある。 センセの作品には、「ちいさなくらし」を愛するがゆえに、ちいさいものを踏み潰す「大きな力」と闘うテーマが多い。 「豆腐屋の四季」「風成の女たち」「暗闇の思想を」どれも胸を打たれる大好きな作品だ。 その後、センセとは何度もお会いする機会があった。 お会いすれば照れくさくて、肝心なことは何も話せなかったような気がする。 でも、センセとの出会いが、今も私の中で生きている。 センセを通して出会ったたくさんの人たちは、今も私を生かしてくれている。 そんなことを、突然昨日、思い出した。 明日は私の誕生日。 大事な時期に大事なことを思い出させてくれたことが、私にとっては最大のプレゼント。 今日は「潮風の町」をバッグに入れて仕事に行こう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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