無償の愛
美輪明宏さんの語る「無償の愛」というモノにどこか憧れがあった。自分の命よりも大切な存在? ってどんなものだろうと。子供が生まれた時に、きっとその感覚が得られるのではないかと期待していたが、現実はそうでも無かった。母乳を欲し、排尿排便し、睡眠を取る。を繰り返すその存在は、人間というよりは動物。父親より母が第一優先であり、そんな存在を前に想像していた「無償の愛」の実感は得られず。そんな自分がどこか後ろめたい気持ちに襲われた。子供が1歳半になった。一緒にご飯を食べたり、オモチャで遊んだり、お散歩したり、時々「パパ」という言葉も言う様にもなった。仕事から早く帰って、子供がまだ起きていて、嬉しそうな笑顔を見せてくれる瞬間に至福を感じる様になった。そうした日常の積み重ね。少しずつ成長して行く過程を見て。少しずつ愛着が膨らんで行く。私には自分が幸せで充実している姿を見せる事こそ大切だと信念があって、そうした生き方を見せる事で子供にとって一番のお手本でありたい。だから、子供の為にすべてを犠牲にするという発想はあり得ないけれど、ある時ふとこの子が命の危険に晒された時に、私の命を引き換えに助かる時にどうするか?と自分の胸に問いただしてみた。今なら答えに迷うことは無い。きっとこの感覚が「無償の愛」なんじゃないか。ようやく宝箱のカギが解けたと。そんな実感を得た。