「Ｃａｓｔ ｏｆｆ　～小さな君のその手を抱きしめるために～」

「少し距離をおきたいと思います」

彼女からのメールは最後にそう結ばれていた

過去にどんなケースにおいても

そこから２人の関係が発展した経験はなかった

昨日もいつもと変わらない微笑みだったのに

心の痛みに押し潰されそうになる

想いが深ければ深いほど痛みは柔らかい心を締め付ける

こんなに必要としているのに何故？

必要とされていたのではないの？

だから恋愛なんてもうしたくなかったんだよ

手足が痺れ

喉が渇き

目が霞む

身体が情けなく熱くなる

ここに居たくない

何処にも居場所がない

気持ちは時間を追って擦り切れていく

暗く深い淵に吸い込まれる

２人ではしゃいだ時間が輝いていたから

消えることなく繰り返される回想シーンが苦しい

幾つものページの中に貴女の笑顔があるから

消えないページが

愛しい気持ちと痛みだけを残して終わる覚悟をした