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カテゴリ:思いつき・・・
『じゃ、行くね』 彼女は少し寂しそうな表情を見せた 繋いでいた手を離し背を向ける 背後を追う彼女の存在を感じながら 部屋の出口に向かいゆっくりと歩を進め ドアノブの前で立ち止まり 振り向き様に彼女を抱きしめKissを交わす 『やっぱり帰りたくないよ』 「帰したくない」 また抱きしめてKissを交わす 毎日繰り返しているこんなやりとり 『おやすみ・・・』 後ろ髪を引かれる思いで ドアを閉め深夜のホテルの廊下を歩く
『青島です。預けた車のキーをお願いします』 「青島様ですね。少々お待ちください」 躊躇することなく彼女の宿泊名を告げた フロントの時計を見ると 針は深夜の1時を少し回っている 車のキーを受け取り ホテルの外に出ると 街は雨に煙り信号や街灯が滲んで見えた 冷たい空気が 彼女との情事で火照った身体だから 優しい温もりを奪い盗ろうとする
「青島様傘をどうぞ」 男性はホテルマンだった 躊躇うことなく 『恐れ入ります』 手を伸ばし 少し小さめの黒い傘を受け取った 彼女の名前で呼ばれても 何の違和感を抱くことなく 振り向ける自分に驚きながらも 冷たい雨に負けることのない温もりを心で感じていた
街灯に照らされた水たまりを避ける事なく進む ブーツに跳ねる水しぶきさえキラキラと輝いて見えた 車の横に立ち もしかしたら顔を出していないかな? 彼女の宿泊している部屋を見上げる そこに彼女の姿は見えない 心の中で『おやすみ』そう呟いた
カーステレオから流れる 嵌りすぎのラブソング 彼女の部屋で 優しさと温もりを重ね合っていた2人を思い起こすと 引き返そうか・・・ また心が躓く こんな毎日が永遠に続いたら幸せなのに 夢なら覚めないで・・・ そう願っていた お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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