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「Cast off ~小さな君のその手を抱きしめるために~」

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2007.12.15
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カテゴリ:思いつき・・・

女性に告白されて嬉しくないなんて事はない

それが例え教え子だったとしても

確かに嬉しかった

でも・・・

素直に喜ぶ事は出来なかった

数日前まで1人の生徒としてしか見ていなかった少女

恋愛感情なんて無いに等しい

少女の真っ直ぐな瞳に射貫かれた告白に

汚れた大人の世界に触れた千蔵の瞳は

気を緩めたら宙を彷徨いかねなかった

 

 

恋愛に身の丈や年齢差なんて関係ないと

常々思っていた千蔵ではあったが

彼女のいる男性に2番目でいいから・・・

そんな恋愛を15歳の少女にさせたくなかった

男としてよりも先生としての常識が先たったのだと思う

先生と生徒として知り合ったのではなかったら

或いは・・・

いきなりの告白ではなく

もっと時間を掛けてお互いを理解し合う時間があったなら

もう少し違った未来があったのかもしれない

 


出来る限り少女を傷つけないように言葉を選んだ

大人の狡さが結果的に少女を・・・

「千蔵君、男らしくない」

勢いよく車のドアを閉め走り去ってしまった

『ちょっと待って・・・』

言いかけた言葉を飲み込んで

彼女の後ろ姿が人並みに消えるまで

波立つ心で見送った

 


後日・・・

少女からの手紙が届けられた

デートのお礼とごめんなさい・・・

そんな内容だった

最後に一言・・・

また会って話を聞いて欲しいと

 


当時の教え子達と今でもたまに顔を合わせる機会がある

彼ら彼女らは千蔵を「先生」と呼ぶ

あの時少女だった彼女は大人の女性になっているだろうな・・・

彼女とは・・・

あのデート以来・・・

一度も顔を合わせていない

少女から女性になった彼女は千蔵を

千蔵先生

それとも

千蔵君

どちらで呼んでくれるのかな?






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Last updated  2007.12.15 05:58:17
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