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テーマ:思うこと(3073)
カテゴリ:最近思うこと
「命令」には「責任」が伴う ↓「コンバット」については4月30日に一度書いている。 何といってもサンダース軍曹の存在が印象深かった。日本では1962年から1967年にかけて水曜20:00から放送されたということだから、我が家にテレビが来たばかりの頃である。敵の機関銃にくぎ付けにされるとサンダースは部下に「援護しろ」と命じて、自分は危険を冒しながら匍匐前進して横に回って、敵の機関銃座に手榴弾をぶち込む。 この「援護しろ」が、漢字も分からなかったのに意味は分かったものだ。「コンバット」で一番印象的なセリフは「援護しろ」である。英語では「Cover me」と言っている。部下に打ちまくらせて敵の注意を引き付けておいて、自分は単独で敵の背後に回るというパターンである。 「コンバット」というタイトルははその名の通り「戦闘」を意味する。アメリカ陸軍第361歩兵連隊第3大隊K中隊、第2小隊の隊長ギルバート・ヘンリー少尉と、その配下の一つの分隊を率いる隊長チップ・サンダース軍曹のダブル主役で製作されたテレビドラマである。 タイトルは「コンバット」(戦闘)ではあるが、単なるアクション映画ではない。戦争の非人間性や戦場という極限状態での心理を描いたドラマである。ドイツ兵も単なる敵として描かれれているだけではない。ドイツ兵を捕虜として捉えたり、逆にヘンリー少尉やサンダース軍曹が捕虜になる場面があるが、そんな時、ドイツ兵も一人の人間としてその心理が描かれることが多かった。 ネット上の日本語版はほぼ見終わった。2006年にNHK-BSで再放送されたものがネットに出ている。著作権の問題もあるから表立って書けないかもしれないが、半世紀以上経って見て気付いたのは、今回見た印象が子どものころ受けた印象とあまり変わらなかったことだ。 新たに感じたこととしては、上官の「命令の絶対性」と命令したことに対する「責任」である。ヘンリー少尉やサンダーズ軍曹の命令は絶対である。サンダースは、部下がどんな困難な命令であっても、また部下がどんなに疲れていても、ヘンリー少尉の命令には異論を述べても最終的には「わかりました」の一言である。勿論ヘンリー少尉も、中隊長からの命令を受けている。 ヘンリー少尉の命令口調は理性的だが、わがままな部下を持つサンダースは、時には「いいかこれは命令なんだ」と有無を言わせない強い態度が必要となる。これは軍隊という特殊な組織での指揮命令系統だという見方もあろう。でも、選択の余地のない戦場の前線において最善を図ろうとすれば、このような縦の指揮系統は、指揮官の判断が間違っていない限りにおいて必要なものだ。 「命令」には当然「責任」が伴う。作戦中の部下の死は、よほどの判断ミスでない限り軍事法廷で裁かれたりしない。でも、倫理的な「責任」は重く心を締め付ける。 戦場で倒れた戦友の容体を見たカーター衛生兵が首を振った時、サンダースの表情は苦しみにゆがんでいる。しかし、その場で感傷にひたる暇はない。サンダースには残った部下の生命を守りながら「命令」を実行する「責任」があるのだ。 最近の組織は、縦の意思伝達よりも横の協調や意見交換を大切にする。確かに民主的かもしれない。しかし時間がかかりすぎたり、討議するうちに尖った特色が無くなってしまうという問題もある。「命令」と「責任」のない組織には、発展も成長も限られてくるかもしれない。といいつつ、自分はもちろん民主主義者で平和主義者である。ただ現代における組織の在り方を考えているだけだ。 その問題点をうまくついているのが、アメリカの現大統領ドナルド・トランプである。極端なことでも、強い言葉で打ち出すと民衆は「正しいかもしれない」と思って指示する。特に共和党の保守層は、今まで誰も言わなかったことをどんどん発信するトランプの熱狂的な支持者と化している。 これは、とても危険なことだ。なぜかというと合衆国大統領はその絶大な権力を背景に多くの極端な「命令」を出す。しかし、それに対して「責任」をとること必要はほとんどないからだ。大統領を「弾劾」に追い込むためにはかなりの障害がある。これは、トランプのような型破りの政治家が出てくることを予測できなかったこれはアメリカ民主主義の最大の欠陥と言ってもいいだろう。 最後に、最近よく会社の不正会計や社員の反社会的集団との交際など、コンプライアンスの問題が起きている。日産のゴーン元会長の問題などその最たるものだ。そこで自分が気になるのは命令や指示はしたけど責任は取らないという一部の者たちの態度だ。 「命令」には「責任」がともなうということを改めて確認しておきたい。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019/07/25 10:36:20 AM
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