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テーマ:世界の中の日本(546)
カテゴリ:最近思うこと
「国民性」の違いはどこからくるか
コンビニの限られたスペースにどんな商品を置くかは重要な選択となる。本や雑誌のコーナーには、良く売れるものから並べてある。そこで、最近のトレンドを知るためにコンビニに立ち寄ったら、本や雑誌のコーナーをひと通り眺める。 最近のある日、終日会議が入っていた。その隙間時間つぶしにと、久し振りに「文芸春秋」を手に取って、表紙の見出しだけ見て購入した。 「文芸春秋5月号」 (興味を引いたのは「私の人生を決めた本」という見出しだった) 「人生を決めた本」なんてよく見聞きするテーマだ。わが家でとっている郷土紙(新聞)でも日曜日には本の紹介や書評が2ページ分組まれている。県庁所在地(地方)と東京でのベストセラー(ベスト10)を比べてあるのも面白い。 文芸春秋5月号をざっと読んでいて、ちょっと目についた文章があった。それは「人生を決めた本」という特集記事ではなくて、岸田文雄総理と伊藤忠商事会長の岡藤正広、脳科学者中野信子の鼎談(ていだん)の記事の中にあった。 鼎談のタイトルは「日本復活への道」であった。鼎談の間、岸田総理はヘッドハンドを装着して総理の脳波をチェックしていた。その脳波を見て脳科学者中野信子が総理の頭の中(脳波)を評価するという試みがちょっと面白かった。 この鼎談の中で岡藤正広がこんなことを話していた。(以下引用) 私は中国の友達から面白い話を聞いたことがあります。中国人は小さい時 から「人にだまされるな」と教育される。韓国人は「人に負けるな」と。 では、「日本人はどうなんや」と聞いたら、「人に迷惑をかけるな」と。そ の通りで、日本人は、控えめで謙虚であることが美徳とされてきました。 確かに面白い話である。東アジアの三国の国民性を端的に表している。岡藤はこの後さらに続けて次のように語っている。(以下引用) 中国人は商魂したたかで、韓国人は負けず嫌い。日本の謙虚さは美しいけ れど、主張や競争を避けてしまうのは美徳ではありません。外国からただの お人よしと見られているところもある。ODA(途上国や新興国への政府開発 援助)でも、中国に対しては昨年三月まで40年以上にわたって3.6兆円の支援 をしましたが、あまり恩義に感じてもらっていないような気がします。 「東アジア三国」 (中国は大陸国、韓国は半島、日本は列島という地政学的な相違がある) 地政学的な面から国民性が違ってくるという側面は確かにある。それに加えて、歴史的な面から考察することからも重要な手掛かりが見えてくる。 中国はシルクロード時代の外国との交易、そして近世にかけての華僑の進出などのなかで「人にだまされるな」という国民性がつくられていった。韓国は古くから大陸からの侵略にさらされてきたし、近代に入ってからは日本の侵略を受けた。そこで「人に負けるな」という国民性がつくられた。 それに対して、日本の「人に迷惑をかけるな」という国民性は、江戸時代以前までに身分制や地域間の関係の中でつくられていった。江戸時代の中期以降、外国との関係が出てくるが、本格的になるのは明治時代以降だ。 近代国家としての道のりの中では「人に負けるな」という韓国のような意識が強かった。特に西洋の国々に対して「負けるな」という意識が強かった。「人に迷惑をかけない」というのは戦後になってのことだ。第二次世界大戦でアジアを侵略し迷惑をかけたという反省が戦後教育に大きく反映していたからと思う。 国民性の違いはよくジョークとして語られる。陸続きの欧米諸国間でも国民性の違いは大きい。しかし、21世紀になっての急激な社会の変化、国際関係の変化の中で今後どう変わってゆくだろう。そこが大変興味深いところである。 ↓ランキングに参加しています。クリックをお願いします。 写真日記ランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023/04/25 08:24:30 PM
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