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テーマ:小説日記(233)
カテゴリ:探偵百傑
「私の質問にイエスかノーでお答え下さい。」
「はい、わかりました。」 「あなたのお名前は栗林元雄さんですね?」 「はい、その通りです。」 「事件当日、あなたは出張されていたそうですが、 石川県まで行かれましたね?」 「はい、仕事の商談で行ってました。」 「被害者の藤森もえさんとの関係をうかがいます が、本当に上司と部下の関係ですかね?」 「………、はい、そうです。」 「栗林さん、正直に答えて下さい。もう一度、 尋ねます。本当にもえさんとは上司と部下の 関係でしたか?」 「……………。」 「栗林さん?」 「いいえ、藤森くん…、いやもえは私の大切な 女性でした。」 「栗林さんはご結婚されてましたよね。」 「はい、妻と子がいます。」 「それでももえさんと関係があった?」 「………、はい。ですが、探偵さん、私にとって もえは大切な女性だったのでそんな殺すなんて 大それたことは!」 「栗林さん、落ち着いてください。誰もあなたが やったと申しておりません。事実関係を調査 しているだけです。」 「私の大切な女性を奪うなんて、むしろその犯人 にこそ復讐してやりたいです!」 「わかりました、栗林さん。事件は必ずこの私が 解決いたします。お忙しいところ時間を割いて いただき、また正直にお話いただきありがとう ございました。またお呼びすることがあるかも しれませんがご協力お願いします。」 「え?探偵さんは私を疑っているのではないの ですか?」 「さきほども申し上げたとおりあなたにはアリバイ があるので大丈夫です。事件は私にお任せ下さい。」 「よろしくお願いします、探偵さん!」 「私の質問にイエスかノーでお答え下さい。」 「はい。」 「あなたのお名前は藤森りえさんですね?」 「はい、そうです。」 「殺害されたもえさんの妹さんですね?」 「はい。探偵さん!お姉ちゃんを殺したのは 誰ですか?」 「今、犯人は調査中です。りえさんから見て もえさんに恨みを抱く者の心当たりは?」 「いいえ、そんな人がいるようには思えません。 お姉ちゃんは私から見ても素敵な自慢の姉 でしたから。」 「そうですか、調査した結果ももえさんからの 線はまったくなかったです。では、これから りえさんのことを伺います。りえさんは22歳 ですか?」 「は?それが事件と関係あるのですか?」 「大事なことです!」 「はい、22歳の学生ですが…。」 「お付き合いされている男性は滝井隆夫くん ですか?」 「はい。」 「あなたの携帯番号は○×○-△☆△○-×☆△△ ですか?」 「あの~、探偵さん。普通はそこで隆夫くんが お姉ちゃんと知り合いだったか質問すると思う んですけど…。」 「質問に答えて下さい!」 「はい、その番号ですが、どこで調べたのですか?」 「好みのタイプはスポーツマンタイプのイケメン とのことですが、僕は合格ですか?」 「合格とかそんなこと事件に関係あるのですか!」 「もちろんです。重要なことです。」 「不合格です。わたしには隆夫くん以外、考えられ ません。」 「そうですか…、わかりました。りえさんへの質問は 以上です。」 「本当に大丈夫ですか、探偵さん?」 「私にお任せ下さい、また連絡すると思いますので その時はご協力よろしくお願いします。」 「どんなことでも構わないので連絡下さい、ぜひ ともお姉ちゃんを殺した犯人を見つけたいので お願いします。」 「私の質問にイエスかノーでお答え下さい。」 「何ですか一体…、僕は事件に関係ないんですけど。」 「あなたも重要な参考人の一人ですから、ご協力お願い します。あなたのお名前は滝井隆夫くんですね?」 「はい、そうですけど。バイトがあるので手短にして もらえませんか?」 「素直にお答えいただければすぐに終わります。 あなたは被害者の妹さんの藤森りえさんとお付き 合いをされてますね?」 「ええ、まぁ。それが何か?」 「それではあなたはりえさんのお姉さんのもえさんとも 面識があった?」 「当然です。よく家に呼ばれたりしてましたから。」 「そしてもえさんに恋心を抱いた?」 「ちょっと、勝手なこと言わないで下さい!何ですか、 その質問は。」 「もえさんとりえさんの間で板ばさみとなり、もえさん に詰め寄られたあなたはかっとなってもえさんを 殺した?」 「探偵さん!勝手に話を進めないで下さい!」 「答えがないので黙認とします。隆夫くん、あなたが 犯人ですね?」 「どうしてそうなるんですか?不愉快です!だいたい 僕はその時間には家にいました!」 「残念ですが、身内の証言はアリバイにはならないの です。あなたを重要参考人とします。」 「ちょっと待て!って、うわっ!僕を取り押さえて どうするだぁ!ちょっ、ちょっと!僕をどこに連れて 行くんだ~!僕はやってないぞ!!!」 通称「二択探偵」道近江良歩。彼の巧みな話術は二択 で質問を投げかけることによって、人の心理を突き 真相に突き当たる。彼の手がけた事件は解決するか 未解決かのどちらかである。 後日、道近探偵はストーカー規正法により逮捕される ことになる。容疑は藤森りえ氏に対してストーカー行為 を働いたことによる。逮捕された際、道近探偵は 「どんなことでも構わないので連絡下さい」と言われた から連絡したのだと言っていたという…。 (参考資料)探偵百傑 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.03.22 14:04:35
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