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テーマ:大河ドラマ『天地人』(392)
カテゴリ:テレビの話
謙信がああいう人柄だから、自然と家臣たちも直球
勝負な性格の人間ばかり集まる中で、今回初登場 ながらいきなり異彩を放ついいキャラが登場しま した。 その名も遠山康光、小田原北条から景虎を頼って やってきたという戦国時代ならではの武将だと思う のですが、謙信が倒れた折には関東出陣に参じた 諸将たちと景虎がいかにすべきか決めたことを 上田衆にわざわざ報告したり、景勝が家督を継ぐ ことに決まったにも関わらず景虎を推した二人の 武将に恩はゆめ忘れぬと景虎の言葉とともに酒を 届けたりと、キナ臭さ爆裂でいい味だしてます。 極めつけは、家督をどうするかで揺れる評定の場 でぽろりとこぼした言葉、 一枚岩であった上杉がのぅ、 人とはわかりませぬな、兼続殿 外から来ただけに内のことが人以上に見えるもの だと思いますが、あんたが一番怪しいんですけど。 これから家督を巡って御館の乱があると思うの ですが、この面の皮の厚い遠山康光がどのように 暗躍するのが、密かな楽しみだったりします。 今回見ていて思ったのですが、よくよく考えて みると景虎ってどんな人物なのか全然掴めない 気がしました。 これまで表面的なことは他人の評価として頻繁に 出てきましたし、今回でもさすが景虎様と褒める 重臣はいたりしたのですが、その内面というか 感情はあまり描かれていなかったのではないかと。 前回にもちらっと書きましたが、景虎の内面が 描かれているのって血気盛んなところといかにも 優等生的なところしかなく、じゃあ実際のところ 景勝との関係はどうなの?って思ったりもしま した。 一応は二人とも養子だし、今回のことがなかろう と後々には家督を争うことになるとはいえ、極端 に景勝と景虎の交流というのが最低限も描かれて いなかったので、二人の武将に対して言った言葉 や評定のときに言った言葉と遠山康光の言葉と どちらが本当の景虎なのかが、視聴者の立場から も全く手探り状態。 まさに兼続視点で物語は進んでいるので、視聴者 も同じような感覚で見れるため、番組の意図する ところなのかもしれませんが、景勝がああいう 性格なので交流というのは難しかったかもしれ ないのですが、このままではポジション的には 景虎は御館の乱でただの悪役で終わってしまい そうで、評判の良かったキャラだけにどうなるか はわかりませんが、おそらく惜しみながらの別れ になるのであればドラマ性がもっとあったのでは ないかと思います。 興味深かったのが仙桃院の政事に関する考え方 で、謙信がまだ存命のときは事が起きたとき最悪 の成り行きを考え、しかるべき手を打っておく と言ってたのに、謙信死後は妙椿尼の家督相続に 関する嘘の遺言もあってか、この世には事実と 嘘の間に真があるのじゃ、政事とはその真を 見つけ出すことと、後手でも妙椿尼の嘘を正当化 したこと。 まぁ、景勝側にはまっすぐな人間ばかりで、景虎 側のように曲がった人間はいないので家督を景勝 が継ぐにはそうするしかなかったと思うのですが、 わたしはこの嘘を真といたすと言う仙桃院の言葉 には上杉の言う義がなかったように思います。 仙桃院もそう思っているからこそ、すべての泥は わたくしが被ると言ってたのですが、それを謙信 の意志を受け継ぐ兼続に打ち明ける必要はないと 思うのですが、兼続は己の義に反する嘘を今後の 騒動の中でどのように消化していくのか見所なの ではないでしょうか、って兼続も景勝が家督を相続 するのを願っていましたから後で巻き込まれたとは いえ、義に反することをしたとしてもなかったこと にするのかもしれませんが。 で、前々回にもう泣きませぬと宣言したにも関わ らず謙信の死で仕方ないとはいえ、2週続けて 泣いている兼続でしたが、相変わらずお船とは 微妙な関係でしたね。 というか、お船のほうから一方的というような気 もするのですが、では何かあったらそなたを頼り ますと言うお船の言葉は、あまりにもあけすけに 伏線がすぎてるような気がして余計だったんじゃ なかったかと思います。 すべてを表現しないと伝わらない現代ドラマなら ともかくとして、言葉にしない奥ゆかしさを表現 する時代劇なのですから、ぽんぽんと月日を飛ば して断片的に描くのではなく二人の関係をそこ はかとなく想像させるような演出にしたほうが、 妙味がぐっと引き立つように思えるのがちょっと 残念なところです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.03.01 23:28:53
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