灰色の空のむこうには…

これまでこの法医学ドラマで一番目立っていなかった
ポジション、ドラえもんで言うところのいわゆる出来杉
くん的なキャラであった哲平が主人公の物語でした。


法医学ゼミに運ばれてきた６０歳代の男性は、火災現場
で発見されたのですが、なぜかカーペットに包まれて
いた子供を抱えていたのでした。

その男性の解剖していると、男性が肝炎を患っている
ことを発見し、感染しないよう教授は注意を促すの
ですが、哲平が分析のために肝臓を運んでいると不注意
で肝臓の入ったシャーレを落としてしまい、その破片を
拾い集めているときに誤って指を切ってしまい、感染
のおそれが。

哲平は肝炎に感染したか検査を受ける一方、男性の死を
不審に思う大己は調べていくうちに男性が科学警察研究所
の火事を専門に分析する部署を定年退職したことを知り、
男性がなぜ子供をカーペットに包んでいたかを調べます。

そして、男性の最後の声に気付いたとき、一緒に亡く
なった子供の両親に届けようとしたのですが、子供を
亡くして現状を受け入れられない母親に話すことは出来ず、
大己は法医学を辞めようと考えている哲平に男性の最後の
声を語り始めます。


これまで、あくまでも法医学のドラマというだけあって、
そのカッコイイところばかりがピックアップされたり
していたのですが、今回はそれとは違った視点で法医学
をする以上付きもののリスクについて語られたという
意味ではすごい参考になったと思います。

この哲平も法医学をやりたいと思ったのは、海外ドラマ
に影響されてのことだったのですが、実際自分がそうした
危険にさらされることによって、自分の理想のものでは
なく現実のものとしての法医学に向き合ったときの、
法医学に対する心情の変化というのは誰にも否定出来ない
ものだったのではないでしょうか。

そしてそんな哲平の思いとは対をなすように、同じ海外
ドラマのファンであった火災でなくなった男性の最後
の生き様というのは、そんな憧れ半分の気持ちの哲平に
とって命をかけてまでプロフェッショナルに徹したと
いう点ではとても心を打つものだったと思います。


見ていてほのぼのとしたのが、いつも哲平にちょっかい
をかけるジャイアン的な存在の羽井くんが、哲平が感染
したかもしれないということでとても心配していたこと
ですね。

検査の結果の日に、みんなで無事を祈って神社にお参り
に行ったときに羽井くんだけは健康祈願のお守りを１０
個も買ったり、お賽銭に千円を入れたりして本当に哲平
を心配している姿が、ありありと描かれていてその人柄
が伝わってきてあたたかい気分になれました。

言葉にしなくても、こうして互いに心配し合うことが
出来る仲間がいるというのはいいものですね。