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灰色の空のむこうには…

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2009.03.22
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カテゴリ:テレビの話
いやはや、今回も遠山の暗躍がそこはかとなく描かれ
ていて、かなりの大満足でした。

兼続の父、惣右衛門が景勝に御館の景虎と小田原の
北条家の間で盛んに密書が交わされていると報告した
後に、遠山が景虎に兄、北条氏政からの書状を差し
出すシーン、どう考えても初めて景虎は氏政からの
手紙を受け取った感じであり、盛んに密書が交わ
されているのであれば遠山が景虎には内密に北条と
やり取りをしているのがわかっただけでなく、さり
げに武田にも援軍を送るように謀るなんてなかなか
いい仕事をしてますね。

そしてラストでは、桑取は結局景勝のほうに着いたの
ですが、そこにもきっちりと金を送って味方になる
よう先手を打って兵糧攻めを行っているとは、これ
ほど機転の利く武将はいなかったんじゃないかなと
回を追うごとに遠山の評価が僕の中で高くなる一方
なんですけど。


今回はようやく兼続が主人公らしく活躍するもので
あったのですが、桑取を味方に付けるくだりなど
何だか豊臣秀吉と蜂須賀小六とのエピソードを彷彿
とさせるものがあったのは気のせいでしょうか。

それにしても今回の兼続の台詞は、なかなかいいもの
があったと思います。

人は話し合えば分かり合えるものにございます。

おまえたちそれでも上杉の侍か!その腰の刀は
ただの飾りではあるまい。


上杉の侍の誇りは金で量れまい。何のために命
をかけるかではないのか。


斬りたければ斬るがいい、だが同時におまえ
たちは侍としての誇りを斬り捨てることになる。


これまでの兼続はあまり主人公らしいところがなかった
のですが、今までのへタレっぷりを払拭するような
台詞の数々はさすが主人公だなと思うのですが、こう
して振り返ってみるととても話し合いに言った台詞に
聞こえない気がしないでもないのですが。


前回では景虎のその内面に迫る演出がされていました
が、今回は景勝の内面に迫る描写がされていて、その
二人の性格の違いというのを如実に表していたと思い
ます。

兼続が決死の覚悟で桑取を説得に行くと言ったときに
景勝が、お主を失うてまで生き延びるつもりはないぞ
と語り、三日経っても戻らぬときは兼続は死んだもの
と見なし、我ら命果てる覚悟で討って出ると語った
言葉の裏には、兼続とともに逝こうとする景勝の心情
が滲み出ていたように感じられました。

そして、兼続が桑取の里に行く途上で出会った老婆に
景勝のことを語るシーン、景勝様は雪がお好きでのぅ、
越後の米がうまいのは雪解け水が山から流れ込んで
来るからじゃと、おかげ豊作となり百姓たちも喜ぶと
雪が降るたびにおっしゃるのだというエピソードは、
景勝のそのひととなりを如実に表したものではない
でしょうか。

兼続が無事に帰ってきて桑取から兵糧が届き、その米
で作られた握り飯を食べたときに言った言葉、こんな
にうまい握り飯は初めてじゃという台詞には思わず
うるっと来てしまいました。

前回を見て心情的には完全に景虎側になっていたのに、
こうしたちょこちょこっとしたエピソードを入れる
ことで景勝側にドラマ性を持たせるなんて、普段は
寡黙で語らない景勝だけになかなかわかりづらいもの
ですが、だからこそちょっとした出来事が強烈に印象
に残ってしまうのはある意味反則だと思います、いや
僕的にはそういうのはウェルカムなのでもっと見たい
と思うのですが。





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Last updated  2009.03.22 22:25:31
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