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灰色の空のむこうには…

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2009.04.03
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カテゴリ:テレビの話
リスト パガニーニ大練習曲「ラ・カンパネラ」


一応クラッシックに興味のある僕は、名曲に隠された
謎を解き明かす番組がスタートということで楽しみに
見たのですが、いきなり17回目からとはこれ如何に?
と思っていましたら、BSで放送しているのを地上波
でも放送開始というものでした。

というわけで、今回の曲は天才ピアニストと呼ばれた
リストによって1851年に作り上げられた名曲で、
この曲はニコロ・パガニーニのバイオリン協奏曲第2番
第3楽章
のメロディーをもとに作曲されたと言われて
います。


曲の題名となっている「ラ・カンパネラ」はイタリア語
で鐘のことを意味し、しつこいくらいに繰り返される
レの♯と旋律が交互に打ち鳴らされるのが鐘を表して
いて、鳴り響く鐘とともにキラキラとした美しさを思い
起こさせてくれるものです。

しかもこの曲にはピアノの魔術師と呼ばれたリストなら
ではの超絶的なテクニックが駆使されており、同じ音を
鳴らす連打や隣の音と交互に鳴らすトリル、さらには
2オクターブにわたり交互にたたきつける跳躍という
技法がちりばめられており、より印象的に鐘の音が響き
渡らせようとする工夫がなされています。


しかし、この名曲が生まれるまでにリストは何年も時を
費やしており、1832年リスト21歳のときに書かれた
第1稿では超絶技巧のオンパレードで音の効果だけでなく
視覚効果をも取り入れたものとして生まれたのですが、
その後に1939年に第2稿として書かれた曲は第1稿
では18分にも及ぶ曲が5分に短縮されたものでした。

この第2稿に至って初めて序奏としてあの印象的な鐘の
音であるメロディが登場するのですが、その曲調はなぜか
重苦しく響くもので、同じ冒頭の始まり方とは思えない
ものでした。

しかし、その秘密は第2稿と第3稿の楽譜の冒頭部分に
隠されており、第2稿では半音下げる♭が使われている
のに対して第3稿では半音上げる♯が使われており、この
同じ音にも関わらず違う異名同音のトリックにより、♯
という上がり調子のキレのある音を繰り返し打ち鳴らす
ことで印象的なものに仕上げたのでした。


というところで、第2稿と第3稿の違いを聞き比べて頂く
ためにわざと自動演奏のリンクを選びましたが、ここで
本来の「ラ・カンパネラ」をお聴きいただきたいと思います。


ラ・カンパネラ第3稿「パガニーニによる大練習曲集」より


人の手による演奏というのは、自動演奏では表現できない
美しさというものがあるものですね。


いやはや、名曲だけでなく一応ドラマ仕立てになっている
のですがそちらもなかなか見応えがあって、とても興味を
持って見ることの出来る面白い番組でした。

ぜひとも第1回から再放送をしていただきたいものです。





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Last updated  2009.04.05 22:50:38
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