灰色の空のむこうには…

物語としては御館の乱平定後の後日談的な話だったのです
が、景勝は兼続の前でだけやけに饒舌になるなぁと思う
くらいで、さして特筆すべきものが見つからない回だった
ように思います。


乱の最中に武田と同盟を結ぶことで上手く切り抜けた景勝
たちであったのですが、その和睦の証として輿入れしてきた
信玄の娘である菊姫。

景勝と菊姫の婚儀とその後の顛末をメインに物語は進んで
いくのですが、特に印象に残ったのは菊姫が仙桃院に
語った、女子の一生とは何なのでございましょうか、という
言葉くらいかなと。

確かにこの時代の女性の一生は、嫁いだ先の武将の行く末
に左右されるとはいえ、名だたる武将と夫婦となった女性
たちで幸せな一生を終えることが出来た女性が少ないこと
を考えれば、痛烈な皮肉な言葉だと思います。


そして今回の乱の功績により、兼続以下上田衆たちはかなり
の出世をすることになります。

兼続に至っては家老職となるのですが、景勝の覚えめでたき
ことを利用して武田との和睦など強引なことをしたので、
それを良く思っていない者たちの反発を買うことに。

救いなのは兼続の出世を手放しで喜ぶ父親の惣右衛門の
存在くらいかなと思うのですが、息子２人を前にして
杯を交わしながらしみじみと誇りに思うと語る父親の姿は
まさに理想的じゃないかなと。

これを機に惣右衛門は職を辞するというようなことを言った
のには、唯一このドラマでアットホームな存在である父親が
いなくなるのはとても寂しい感じもするのですが…、ただ
この一幕を見ていてふと感じたのは惣右衛門らしくないなぁ
と違和感がありまして、あまりに兼続のことを褒めすぎて
いてあれだけ聞いてると父親までも兼続ばかり言うので与七
は面白くないんじゃないかなと思うのは、僕だけでしょうか。


吉江も信綱も最初は兼続を気に入らないと反発していたの
ですが、この乱平定後の対外情勢を考えると織田の攻撃を
防ぐためにはどうしても武田の力も必要であり、後々の
ことを考えて動いた兼続を見直して全面的にバックアップ
すると。

こうして見ていると、信綱はかなり暑苦しいキャラでその
役をやっている山下信司氏にはハマリ役だなぁとか思って
いたのですが。


ラストでいきなり誰かに襲われて息も絶え絶えになりながら、
上杉を頼むと言う信綱、そして次回のタイトルは「直江兼続
誕生」ということから、ようやく物語はスタートラインに
なると思うのですが、今回の話がただの前振りで終わった
ような気がしてならないです。