灰色の空のむこうには…

前回、渡辺さんが仕事をするはずだった盗賊が何者か
によって先に始末されるという引っ張る終わり方を
したので、続きがどうなったのかかなり気になって
いたのですが、結局渡辺さんも経師屋も撒かれて
しまい誰の仕業かわからずじまいに。


そして物語はまた新たな事件ということで、今の戸籍
にあたる人別帳に乗らない帳外れの人たちに、仕事と
住まいを提供し人別帳に乗るよう取り計らうことで
ご公儀振る舞い金を騙し取ろうとした上に、証拠隠滅
と便宜を計った帳外れの人たちを始末した与力や町年寄
らを仕事するというものでしたが、どちらかというと
新しい仕事人のお目見えっぽいものでした。

まぁ、一応この新しい仕事人となる仕立て屋がこの帳外れ
の人たちの面倒を見ていたので物語としては繋がっている
のですが、どうして盗賊を始末したのかは描かれずじまい
でしたし。


それにしても興味深かったのが、この仕立て屋の扱いを
巡っての中村主水の態度かなと。

これまでも数々の仕事人を見てきた中村主水だけに、この
新キャラにどう接していくのかと思っていたのですが、
直接この仕立て屋と接触した渡辺さんに対して情に流さ
れて二度も見逃したことを暗に攻めたり、仲間に引っ張り
こむとなると仕事をしたことで銭を受け取れと渡しに
行ったりと、これまで仕事以外はほとんど隠居のような
中村主水ではなく、数々の修羅場を潜り抜けてきた仕事人
として立ち回る姿が印象的でした。

僕的にヒットだったのは、仕事料として仕立て屋に三途の
河の渡し賃と言われる六文を渡しに行ったのには、ある
意味自虐的な皮肉がこめられていたかと思います。


まぁ、これでからくり屋の補充というわけではないの
ですが、また同じように得物を巻きつけて仕事する仲間
が増えたことにより、仕事人の王道パターンである突く・
締める・斬るが復活することになったかなと。

同じ締めるでもからくり屋のワンパターンと違って、
仕立て屋のほうがこれから多彩な仕事シーンが見れそう
なので、今後の仕事っぷりに期待したいと思います。


最後に、今回ふと疑問に思ったのですが、仕事のトリを
飾ったのはいつもながらの渡辺さんだったのですが、
ラストの悪党として大きな屋敷に住む町奉行所の与力の
ところに堂々と入り込んで斬り付けたのには恐れ入った
反面、どうして他の時代劇みたいにこんな不審者が侵入
したにも関わらず、曲者じゃであぇーと叫ばなかったのか
が不思議でならないです。

確かに他の時代劇でそんなシーンがあるのはたいてい
大名屋敷なので、そこに詰めている者たちがいるのは
当然なのに対して、普通の屋敷にはそこまで詰めている
のがいないのかもしれませんが、それでも与力ともなれば
他に誰かいるでしょうに。