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灰色の空のむこうには…

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2009.06.21
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カテゴリ:テレビの話
それにしても、これまでずっとこのドラマを見てきた
のですが、いきなり上洛するや他の諸大名から評価
されている兼続って、あまりにも唐突すぎるような。

確かに数々の功績を考えればそう取れないこともない
気もしますが、これまで描かれていなかった武人と
いう側面以外がいきなりクローズアップされても、
ちょっと着いていけない気がします。

また秀吉が突然兼続を三成と並んで評価しすぎるって
いう展開も強引すぎ、どうして天下を治めるために
兼続が必要なのかってのが、そこいらの説明不足の
感が否めないのですが、ついでに暇乞いもなしに秀吉
の下にいる幸村の存在も。


まぁ、そういう兼続の評価はさておき、今回の見所
はやはり何と言っても初音絡みのものではないかと。

初音が北条から逃げ出したのは、兼続にほれて人を
信じたり人を思ったり、そんなことに憧れたばかりに
もう忍びではいられなくなったというのは、単なる
エピソードにしてはちょっといい話だったのではない
でしょうか。


僕のイメージの話ですが、忍びとは個人の感情は認め
られず己を殺してただ任務を全うするために使える
ものは全て使うというもので、それが女性となると
色仕掛けもその任務には入ってくると思うのですが、
これまでそれを続けてきた初音が上杉ではなく北条に
送られたその意味を放棄してまで兼続の下に逃げて
きたというのは、忍びとしてでなく人として生きたい
と意志を現したものだと思います。

真田の現状を考えればその裏切りはお家を揺るがす
事態で、何としても初音を捕らえて処分しないこと
には北条の怒りが解けなければどうなるかは自明の
ことですので、兼続の屋敷まで押しかけてきて攻撃
をするのもわからないでもないのですが、幸村が来た
途端攻撃が終わるというのはちょっと意味不明だった
かなと。

真田を捨て一人でも生きていけるところを探して
みようという兼続の言葉に、翌日姿を消した初音
でしたが、改めて道具としてではなく一人の人間と
して自分のことを見てくれる兼続のそばにいること
が出来ないということを自覚したその心中には複雑
なものがあったと思います。


景勝と利休の会話は、これからの時代の新しい戦い
を象徴した意味深なものだったように思えます。

天下泰平となったこれからは、刀ではなく言葉で
戦いが行われるものとして、その景勝の器量を表現
したものとしてはなかなか良かったのではないかと。

利休の茶器にこじつけた忠告に対して、景勝の返す
まこと見事な器、しかし所詮は器、人に非ずという
言葉は寡黙ながらも景勝の将としての器が巧く描か
れていたと思います。

そして利休の別れ際の挨拶にも、この命長らえて
あらばぜひにもと返す景勝の心情はこのとき既に
決まっていたものとしてなかなか見応えのある一幕
でした。


こういうおおっと唸らせるようなシーンが兼続にも
ちょこちょこっとあったならば、前半の諸大名の
評価にも違和感を感じなかったと思うのですが…。





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Last updated  2009.07.09 20:41:12
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