灰色の空のむこうには…

今回の放送を見て考えさせられたのは、前々回に菊姫
が女性は政略結婚の道具だと言っていましたが、男性
も有力者の子供に生まれるとその人生はどうなるかは
わからないというのが戦国時代の共通認識のように
思えてきます。

「天地人」ではもう戦国の世は豊臣秀吉によって治まり
ましたが、ちょっと前の時代には御館の乱のときのよう
に敗者の将の男性はその血筋を絶やすためにも狙われて
殺されるものであり、他の敗者の武将も家来を救う代わり
に主家筋の男性が子供であろうが殺されるという時代で
あったというを改めて感じることができました。

そして用済みとなった跡継ぎ候補ですら、あっさりと
処断する非情な社会であったというのは、男性であろう
が女性であろうが武家社会に生まれたからには避けては
通れぬ宿命であったと思います。


今回は淀が拾を生んだことにより、秀吉の跡継ぎ候補と
目されていた秀次と秀俊の翻弄されたそれぞれの宿命が
描かれていました。

ちなみに秀次は秀吉の姉の子で、秀俊は北政所の甥に
なるのですが、その二人の歩んだその後はかけ離れた
ものになるのでした。

今回の話では特に秀俊がピックアップされてまして、
毛利の養子話を断るように景勝に頼むのですが、景勝
自身も長尾上杉家の子として謙信の養子に入り、そこ
から養子同士ながらも骨肉の争いをして今に至るもの
ですから、その半生は言葉少ないながらも運命を受け
入れるように諭したその言葉には重みがあったと思い
ます。

そしてその景勝の助言通りに小早川に養子に出された
ことこそが、結果として跡目から外れることで秀俊の
命を救うこととなり、関白にまで取り立てられていな
がら謀反の疑いをかけられた秀次は命運が尽きるの
でした。


特に秀次は本能寺の変以降の秀吉の側で多大な武勲を
挙げたにも関わらず、こうして運命に弄ばれた二人の
姿を見ていますと、何とも血のほうが命よりも重い
時代であったと改めて感じてしまう今回の話でした。