灰色の空のむこうには…

う～ん、もったいない…。

これまで本多政重なんて武将は全く知らなかったの
ですが、今回のオープニングでさらっとこれまでの
政重の略歴が紹介されるのを見て、こんなに面白い
武将がいたのかと思わず身を乗り出してしまいました。


徳川家康の重臣、本多正信の子に関わらず大谷吉継に
仕え、その後は宇喜多秀家の家臣となり関ヶ原では
宇喜多軍として徳川東軍に敵する西軍で戦い、関ヶ原
以降は福島正則に仕えるというその自由人っぷり。

そしてこのたびは父親の命とはいえ、上杉家の直江
に入り婿となるというこれほどの紆余曲折したキャラ
はこれまでいなかったのですから、この人物をどう
天地人では描いていくのかと期待していたのですが…。


全く影が薄かったです。


だいたい前回の段階で、お松が兼続に政重とはどの
ような人物かという質問をしていたと思うのですが、
そのときの兼続の返答はとても答えになってなかった
記憶があるので、ああアクのない人物なんだろうなぁ
と思っていたのをいい意味で期待を裏切るこれまでの
経歴にも関わらず、出てきた政重改め直江勝吉は
まさしく兼続が語るようなアクのなさすぎなキャラ。

これほどの曲者っぷりなら、あの遠山ですら凌ぐ
キャラになるのにと期待していたのに、見事それを
肩透かしされたのにはがっかりでした。

でも、ようやくこの経歴を聞いて、これまでどうして
政重が徳川勢の中にいなかったのかが理解出来たの
ですが。


今回の内容はぶっちゃけあまり印象に残らないエピ
ソードの集まりだったと思うのですが、唯一これから
の伏線として天下の考え方というのがあったと思い
ます。

これまでさんざん豊臣びいきだった上杉家だったのです
が、ここに来て兼続の語る天下が誰のものであるかが
突然ブレだしたのは後に大阪の陣で徳川方に加勢する
ことになる上杉家の行動を無理なく説明するための
ものではないでしょうか。

前回くらいから疑問に思っていたのですが、あれだけ
豊臣のために働いていた上杉家がどういう考えで大阪
の陣では徳川に付いたのかが不思議だったのですが、
ようやくその一端が垣間見えたように思います。

これまでしつこいくらいに語られてきた上杉の義から
すると、まだ今回の兼続の問答ではそう簡単に宗旨替え
するのには理由としては薄い気がしますが、次回の展開
がどのようにミラクルな内容になるのか、今から楽しみ
です。