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灰色の空のむこうには…

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2009.12.06
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カテゴリ:テレビの話
無茶であろうが何でも試みる、それが若さ
というものじゃ。
あっしらは退屈で、しかも力は余っとる。



前回の第1回を見たときもそう思いましたが、まだ
主人公の3人が青年期に差し掛かったところを舞台
に物語が展開していましたので、まさに青春活劇と
言うべき痛快でいて爽快な面白さでした。


自由の風潮漂う中で、どこか呑気でいて、どこか
がむしゃらに生きる真之と子規の姿は見ていて
微笑ましいものがありました。

そして大学予備門を受験し、合格したことでさら
なる世界が広がった真之と子規は、後の夏目漱石
と出会うことになるのですが、落第しようが無銭
旅行という無茶をしようが青春をどこまでも謳歌
する姿というのは、明治という誰もが楽天的に
生きていた時代を象徴していたように思えます。

しかしその一方で、こうした自由を満喫出来るの
はごく限られた一部の特権階級の人間だけである
ということが、子規の妹の律の結婚が物語っていた
のは否めない事実でもあるように感じました。

伊予松山にある子規の家は、子規は叔父の援助に
より東京で勉学に励んでいましたが、実家には
母一人妹一人で暮らしていて、いかに律の気持ち
がどうあっても2人で暮らすには限界があること
からの結婚というのは、一方において自由という
ものを享受出来る人間の限界を感じさせるエピ
ソードだったと思います。


けれどもその自由という重みこそが、この時代は
一際眩しく輝いていて、近代国家にようやく名を
連ねた日本という国にとっては何もかもが新しく、
異国から来る見るものすべてが初めてのものばかり
に出会う感動というのは、過去の人たちの頑張り
によって何もかもが満ち溢れた幸福な世界である
はずの現代社会ではそのような充実感が味わえない
ということは皮肉なものです。

冒頭の真之の言葉にもあるように、誰もがみな
精神的な若さに溢れて力が余っていたからこそ、
その言葉こそが活気のあった明治の時代を端的に
表していたと思いますし、そんな自由の中で自分
が何をすべきか、どう生きたいのかを考え抜いた
結果の真之の海軍兵学校に入学した決断は、まだ
見知らぬ世界を見たいという欲求と自らを退屈
させずに力の限りを尽くすことが出来るものを
見つけたいという強迫観念にも似た渇望だったと
思います。


まだ若者でしかなく、これからどのような大器に
なるのか未知数な明治という世の中で、秋古は
フランス留学、真之は海軍兵学校、子規は文学の
道にそれぞれ進んでいき、ようやく後世に残る
歴史上人物としてのスタート地点に立ったわけ
ですが、これからどのような経緯を経て名を残す
ことになったのか、三者三様の今後の活躍に期待
したいです。





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Last updated  2009.12.07 01:13:30
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