灰色の空のむこうには…

どんな過ちより
人殺しよりはマシです


というわけで、かなり期待をして見た仕事人シリーズの
最新作が放送されたわけなのですが、テーマとして時代
を反映した事業仕分けや派遣切りを取り上げていたのです
が、ドラマとしては少し物足りなかったように思えます。


藤田まこと氏の突然の不幸により、仕事人シリーズの看板
である中村主水が登場しなかったのはさびしい限りですが、
西のほうに異動になったと西方浄土へ行ったであろうと
思わせる祈りやら、各キャラクターによるそれぞれの追悼
のシーンは避けては通れないところだと思うのですが、
何と言おうかストーリーの構成が無理があったような。

時代劇、特に仕事人の王道パターンと言えば登場したとき
にもう悪役は読めていまして、こいつがこれからどんな
悪事を働くのかをチェックするというのが楽しみのひとつ
だったりするのですが、今回はストーリーが二転三転して
ドラマとしては山場を作ったカタチにはなると思うのです
が、見ている側としてはまさしく世相を反映したように
ブレた展開。

武家殺しもウヤムヤにされたまま、最終的に悪役になった
風間右京乃助の心境の変化が描かれきれてないような気が
して、どうして悪の道に進むことになったかの経緯が僕には
あまり共感出来なかったのが残念でした。


と言いながらも、ベースのストーリーに反して各仕事人
たちのエピソードは、渡辺さんをはじめとしてなかなか
見所があったと思います。

特にいい味を出していたのが新しい仕事人の登場で、黄門
様のお供を辞めたかと思えば坊主になって流れの仕事人に
なっているとはちょっと面白く、これからの新シリーズに
期待を持たせるような。

それでも仕立て屋を含むお伊勢参りでのラップちっくな踊り
のシーンは世界のキタノに対抗した感があり、そこも見せ場
だったかもしれませんが、ちょっとやりすぎのような気が
しました。


総じて言うならば、メインストーリーとサイドストーリー
を合わせるとプラスマイナスになる感じだっただけに、少し
今回の仕事人は僕にとっては物足りないものに感じられた
のですが、それぞれ仕事人としてのキャラは安定したものと
して確立されていますので、もしドラマとしてこの仕事人
シリーズが制作されるのであればぜひとも期待したいと思い
ます。