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テーマ:大河ドラマ『龍馬伝』(491)
カテゴリ:テレビの話
幕末ほど矛盾に満ちた時代は、日本の歴史を紐解いても
なかったのではないかと思います。 それまで鎖国によって泰平の世を満喫していた江戸時代 でしたが、異国の武力による条約締結によって開国した ことで、すべての価値観が一変してしまいました。 しかし、尊王攘夷の人間にしろ、佐幕の人間にしろ、その 誰もが願ったのは異国から日本を守ることであり、みなが 同じ方向を向いていながら手段の違いから命のやり取り をすることになったというのは悲しいすれ違いだと思い ます。 そして、そんなすれ違いがこれまで仲間として共に日本 のために働こうとしていた亀山社中の面々にも、その きっかけは小さなことでしたが、取り返しのつかない 亀裂になったのは、長次郎もこの矛盾の犠牲者としか 言いようがない結末でした。 そもそも亀山社中は日本人として日本を守ることを主眼 と置きながら何の手段もなく、その中で現実を見ていた 長次郎を偽侍だと言うのは理解に苦しむところです。 だいたいにして、薩摩と長州を結びつけて幕府に対抗 して時代を終わらせるということは、どんな身分も何も 関係ない日本人としてやるべき大仕事だったにも関わ らず、結局のところは侍かそうでないかという小さな ところを問題視するのは、所詮この小さな集まりにしか 過ぎない亀山社中の面々ですら結局のところはこの時代 を動かすのは侍にしか出来ないと思っていることの 現れであり、坂本龍馬を除いては本当の意味での日本人 の意味を理解していなかったのではないでしょうか。 そんな連中の中で、ただ純粋な志で故郷を捨て渦中に 飛び込んだ長次郎の心境はいかばかりのものだったのか、 考えるだけでもこの悲劇は避けられなかったものだと 思います。 今でこそ歴史としてこの時代の流れはかなりのところ までわかっているので、僕らとしてはこのやり取りは 空しいものでしかないのですが、まだ時代は日本人の 手によるものではなく侍の時代だったということが ありありと伝わる今回のエピソードで、本来的な意味 で坂本龍馬の目指す世界にはまだまだ多くの血を流さ なければ目を覚ませない時代だったとわかるものでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.09.27 18:54:37
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