灰色の空のむこうには…

生きてる限り、諦めきれねえこともある
クソみてえな命でもな


僕が密かに楽しみにしている時代劇のシリーズの１つで
ある「必殺」の最新作がスペシャル版で放送されていた
ので、録画していたのをようやく見ました。


「必殺」の感想を書くたびに何度も書いてる気がするの
ですが、やはりこのシリーズの魅力は恨みを金で晴らす
という一点につき、悪を裁くには悪しかないというところ
にあります。

そこがこれまでの勧善懲悪な時代劇とは一線を画すところ
で、このシリーズに登場する悪役は本当に救いようのない
悪でしかないため、その結末には虚しさが漂うばかりです
がそれこそ因果応報にふさわしい展開になっています。

そのため、僕がこれまで見た「必殺」シリーズの悪役の
パターンとしてはどうしようもない悪役しか登場したこと
がないのですが、一度くらいはそのときだけ悪にならざる
をえなかった人物など、そうした新しいパターンのときに
仕事人たちはどういう行動を取るのかというのを見てみたい
と思ったりもしています。


今回は悪役に高橋英樹氏と、かつて一度も悪役をやったこと
がない人物が登場してきたのでちょっと期待してみたのです
が、やっぱり悪役は悪役で登場したての頃はこれまでとは
パターンが違うかなと思ったりもしたのですが、中盤を
過ぎる頃にはいつもながらのパターンだったのは少し残念
でした。

さすがにスペシャルなだけあって、３つの物語が同時進行
しながらも最後は１つになって繋がっていくという、よく
練り上げられたストーリー展開だったのですが、それはそれ
で面白いものでありながらも、意味深に登場する謎の虚無僧
の存在が含みを持たせるもので若干複雑にしすぎたような。

奉行所の潜入捜査のときに顔見知りにあった渡辺さんがつい
口からごまかせで言ったという伏線があったにしろ、最後
まで虚無僧のことについてはまともに語られないにも関わ
らず、渡辺さんにはその正体がお見通しだったのにはよく
よく考えればわかるものでしたがややこしかったかも。


時代劇の良さというのは、奥ゆかしい武士の人たちが織り
成す含みを持たせて想像させる余韻だと思うのですが、今回
の虚無僧の一件は少々ハードルが高すぎて僕もイマイチ理解
出来ないままにエンディングになったのが逆に気になり、
ストーリーの印象が薄れてしまったような気がします。