灰色の空のむこうには…

今回の話の中で、僕が一番違和感を感じたのはやはり勝と
覚馬に大蔵とのやり取りです。


幕末の歴史の本を読んでいますと、勝海舟は後世の時代を
築いた坂本龍馬や西郷隆盛、福沢諭吉など錚々たる偉人
たちとのエピソードにより、その人物像が浮かび上がって
きたりします。

これまでのドラマの中でも先見の明があり、時流を読めて
いたように描かれていたりしましたが、僕の個人的な感想
で誤解を恐れずに言わせていただきますと、正直幕末から
明治にかけて何を為したかわからない人物だったりします。

当時の知識層には重要視されていながらも、いざ幕臣と
しては身分のせいからか中途半端な位置づけで、時代の
転換期の歴史に名を刻んできましたが、前線に立つこと
なく残務処理係として後付けの事柄に対して才を発揮して
いたのではないかと。


幕末という時代は、誰もが自らの命を賭けて使命に殉じた
時代でして、覚馬や大蔵たち会津藩もその職務を全うする
ために多大な犠牲を払って京都に留まり続けてきました。

御恩と奉公というのが武家社会の不文律でして、ひとたび
大事が起こればそれに対して報酬を求めるのは当然のこと
で、第一次征伐の薩摩藩のようにそれを先陣切ってやって
いる人間が言うのならまだしも、頭が切れるだけで何も
しがらみなく行動すら起こしていない人物が他藩の台所
事情を鑑みず国家優先で頭から否定するのは今だからこそ
正論に思えますが、この場面で言うのはどうにも違和感が。

ここまで先が読めていたのなら、せめて諸藩が団結して
もっと外国と渡り合えるよう上手く立ち回るべく、その才
を活かして前に出ればいいものの、この時代生き残ること
が第一だとは重々承知してはいますが、出来るのにやら
なかったのか出来ないからやれなかったかで判断が大きく
分かれる人物だと思えました。