人間は強い。でも弱い生き物。
某企業に勤務していた際に、ものすごくやる気いっぱいの女性の上司がいらした。家庭があり、小さなお子さんがいらっしゃるのに管理職についており仕事に精一杯頑張っておられた。それはそれで素晴しいとは思ったのだが、その24時間頑張りますか。みたいなスタイルを私が踏襲しないことがひどく気に障ったらしく事あるごとに「あなたが健康だったら、毎日12時まで働けって言っているわ。」「9時から7時半で何が全速力で働いているって言うのよ。私なんか3日間会社に泊まったりしたのよ。」とかもうスーパーキャリアウーマンの様相で、とにかく私のような弱い面を持った人間が、何故会社になんか来るのかと、それはもうすごい剣幕であった。華やかな先端業界だったが、数ヵ月後私は退職を余儀なくされた。人間関係にいたたまれなくなったこともあるが、業界自体にあまり興味が持てずまた専門知識もないのでこのまま居座れば心身症になるのは間違いないと判断し自分を守りたかったからだ。それから2年経った。皆さん相変わらず華やかに忙しく過ごしていらっしゃるのだろうなと思っていた。でも風の便りにそのスーパーウーマンが、あまりの疲れで心身症になり退職なさったとうかがった。えっと疑った。あんなに強くて頑張っていたのに。人間は強いが、弱い。過酷で効率最優先な資本主義社会で弱さはいつも否定されがちだがいつどんなことかで交代可能性があるのだということを忘れてあまりに強気に振舞う人が多くはないだろうか。誰もが持つ弱さを認め合い支えあう社会が望ましいがそれだけのこころの余裕を持てる人はなかなかいないのが現状だ。自分は今後の人生においてそういうことは絶対にしないようにしようとあらためて心に誓った。