<2002年>映画「ピアニスト」
【スタッフ】監督=ミヒャエル・ハネケ 製作=ファイト・ハイドゥシュカ 製作総指揮=イヴォン・クレン、クリスティーヌ・ゴズラン、ミヒャエル・カッツ 原作=エルフリーデ・イェリネク 脚本=ミヒャエル・ハネケ 撮影=クリスティアン・ベルガー 【キャスト】イザベル・ユペール =エリカ・コユット ブノワ・マジメル =ワルター・クレメール アニー・ジラルド =エリカの母 アンナ・シガレヴィッチ スザンヌ・ロタール ウド・ザメル 【あらすじ】“普通でない”性的嗜好をもつ中年女性が、そうとは知らずに近づいてきたハンサムな青年の一途な恋に戸惑い、スレ違いの性的情感に苦悩するさまを繊細にして力強く描いた切なく激しい愛の物語ウィーン小さい頃から母親に厳しく育てられた『エリカ』40歳を過ぎてウィーン国立音楽院のピアノ教授となった今でも母と二人暮らしある日、「エリカ」は 私的な演奏会の席で青年『ワルター』に出会う彼のピアノの才能に特別な感情を抱く「エリカ」だったが・・・・・それ以上に「ワルター」の「エリカ」に対する思いは強かった彼女に執拗につきまとい、ついには音楽院の試験に合格し彼女の生徒となってしまう「ワルター」は ある日、思いあまってトイレにいた「エリカ」に強引にキスを迫る「ワルター」の思いが通じたかと思われた瞬間・・・・「エリカ」が ひた隠しにしていた秘密があらわになるのだが・・・・・ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー昨日の「向田邦子」原作 「森田芳光」監督作品「阿修羅のごとく」は 世のオンナ共が 如何に阿修羅のごとく 計り知れない摩訶不思議な生物であるかを 描いてみせたがオーストリア人で あの映画「白いリボン」や「愛アムール」の「ミヒャエル・ハネケ」監督が描いた女性ピアニスト「エリカ・コユット」(イザベル・ユベール)は その究極を演じる(イザベル・ユベール)とにかく観終わった瞬間から いつまでも あの衝撃的なラストの彼女の表情が脳裏から消えないそれは「自らの狂気を悟り、最後の一瞬、正気にしがみつく それこそ完全な狂気に至る直前の自己喪失を意味する」・・・・精神疾患直前の「シューマン」についての「エリカ」の言葉だがそれがラストの 彼女の 思いもよらぬ行為の伏線だった外では常にクールで理知的 一日中 何人もの生徒へのピアノレッスンは かなり手厳しく泣き出す娘もいたりして それでもピアノ教師としての人気は高く シューベルトの演奏では世界の誰にも負けないという自負さえ持っている程 でもソリストとしての演奏会は なくそんな彼女 独りきりになると 度々ポルノショップの個室で 強烈なAV画面を観つつ・・・・更に 彼女にベタ惚れの若きイケメン青年に対しての 異常でハレンチな行為は・・・・(ここには書けない程でもないが まぁRー15指定映画なんだから 想像して!)何故 こんな風になってしまったのか? その要因は「アニー・ジラルド」演じる母親の所為?ピアニストに育て上げてた母親の超熱心な教育指導の賜物なんだろうけど 度が過ぎていて更に 父親は精神病院で亡くなったというが・・・・なんらかの影響が あったのだろう40才にもなるという娘の帰宅時間が遅いと 大声で怒鳴り 叩くし バッグの中身を総点検「エリカ」思わず「クソババア!」と反撃 髪の毛をつかみ壁に打ち付け・・・・突き倒すしかし 暫くの間 争いが続いても いつか双方が抱き合い 泣きながら詫びを言い合い超過保護な親子関係の異常さ そんな生き様が生んだ悲劇なんだろか オイラ的には この母親役「アニー・ジラルド」 最初 あれっ!どこかで観た懐かしい顔とそう あの「アラン・ドロン」主演映画「若者のすべて」での 娼婦「ナディア」役が 印象深く今だに忘れ難いオイラにとっての大切な青春時代の名画作品で 彼女は2011年に亡くなったラスト近く 「エリカ」の演奏会に ロングドレスの盛装で登場し 往年の輝きを見せる「ハネケ」監督らしい映像の素晴らしさ 引きつけて離さない意外性連続の筋立て・・・・そして その微妙な終わり方は いつまでもアトをひき・・・・・延々と考えさせられる ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・