カテゴリ:木原音瀬
『さよなら、と君は手を振った』は、深井さんのコミックを読んで
先が無償~に気になった作品。(コミック感想はここ) なので即木原さんの原作にチャレンジしましたが、 前半はほぼコミックどーりで、深井さんの漫画力に脱帽 絵も1枚のイラストより画面全体の方が好みだったので、 原作=コミックなバランスでした。 てな訳で感想は後半の「僕がどんなに君を好きか、君は知らない」 から書いてみます。 このお話は啓介目線で描かれているためタイトルの<僕>は啓介と思われますが、 <僕=誠一>とも捉えることができて、とにかく前編とは打って変わって誠一が一生懸命。 啓介の離婚後、ほぼ嫁を迎えるよーにマンション・指輪を用意して 生活費を渡し、浮気も一切せず、名前のごとく誠一筋の別人ぶり 一方啓介は捨てられた17歳のトラウマがよほど酷いのか、 恋に溺れることや幸せになることを極端に恐れ、未来を悲観するばかり。 そしてラストの啓介の逃亡はあまりにも誠一に対して 鬼 で、これには切れて当然だろうっ。 とにかく子供より自分達の恋を選んだ彼らの結末は 背徳的で最高。 「飽きたら殺して」は又とない愛の告白でした。 「さよなら、と・・」はこの他に「空を見上げて、両手広げて1・2」が収録。 こちらは啓介の息子・貴之と啓介の同僚・柊の物語ですが、 この2話によって誠一・啓介の業の深さが証明され、 この血縁者たちの執着度数の高さはもはや遺伝なのか?? そして啓介一家の恋愛体質に巻き込まれて行く柊は今後どんな選択をするのか? 続きが読んでみたくなる短編でした。 にしてもこの本はたった1冊で約30年の時が流れるという、 とんでもなく充実した内容で、1話、1話が短いわりに心にどっしり残るストーリー。 普通なら親子3人仲良くやって行くのがBLなのに、その後の貴之の歪みは 木原さんならではのリアルさで、痛いながらも引き付けらる。 作品によっては苦手で後味の悪いものもありますが、今回の「さよなら、・・」は 誠一&啓介のエゴぶりがツボに嵌り、長く手もとに残る本になりそうです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.09.27 21:32:07
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