さんかくメガネと枯れない泉
バシャバシャバシャバシャバシャバシャッ・・・・・
四方に伸びた噴水口からは、いつもいきおい良くあふれ出す「世界樹の泉」。
この村の真ん中にあるオアシスには、今朝もたくさんの人々が集まります。
朝一番のお水を汲んでお家に持っていくのが、みんなの一日のはじまり。
「嫌なことや許せないことは水に流して、悪いことからは両足を洗って、
水くさいことはいわないで、低いところを潤おす。」がこの村の長老、
ヒムタンの口グセのようなひとりごと。
昔、ヒムタンのおじいちゃんの 曾おじいちゃんの 曾々おじいちゃんが
メッサとうがらしを夜鳴きコーヒーに入れすぎてヒィヒィ言ってた頃の話。
大ヒクイドリが海のずっと向こうからやってきて、
田んぼや畑や山々のあっちゃこっちゃ火につけちゃった。
村や町にも火がついてそれはそれは大変だった。
大ヒクイドリは火を食べないと死んでしまうんだけれど、
死んでしまったら、また生まれ変わって、風見大鳳になるのです。
風見大鳳が死んだらこんどは水鳴き鳥に生まれ変わって、
次はしばらくモグラになるんです。
でも、そのことは大ヒクイドリは知りません。
海の向こうで住処を追われた大ヒクイドリは、村や町までやってきて、
いろんなものを焼いてしまい、それを食べておなかいっぱい。
寝ているところ、自分の食べ残した火で身体を焼いて死んでしまいました。
そして風見大鳳に生まれ変わりました。
風見大鳳が巻き起こした熱い風がいろんな物を砂に変え、
田んぼや畑や村や町の多くが砂だらけの砂漠になりました。
人々は水がなくなって悲しみ、はじめて争いが生まれました。
でも、本当は砂漠の砂の下にたくさんの水があったのです。
それに人々が気が付いたのは、風がやんで風見大鳳が死に、
水鳴き鳥に生まれ変わって、その水鳴き鳥が死んで、
あるとき砂漠の中からひょっこりモグラが出てきたときです。
モグラは数々の龍と親しく水龍を連れてきました。
ずっとずっとそこに沢山の水があったのに、
みんなは知らずに争っていました。
それのいきさつを全て知っているのはさんかくメガネだけです。
つづく
「たまの美くし箱」より