テーマ:暮らしを楽しむ(388269)
カテゴリ:きらめき
緻密に描かれた一つ一つの色彩の筆跡が、花びらとなって、一輪のバラの花を作りあげていくことの不思議さに魅せられる。 真似ることさえできないはずの絵を描いてみたいと思わせる美術館の小さな心の旅は始まる。 ゴッホは、画廊に勤務し、各地で画家の絵に触れていくうちに、画家になることを切望し始める。 すべては、独学から始まった。 ミレーの複写など、模倣から、やがて実物のモデルを描くようになる。 最初から上手かったわけではない。 f この絵も動きが無いと言われていた。 オランダで過ごした頃は、茶色などの抑えた色彩の絵を描いていた。 パリに渡り、印象派の多くの画家を知り、色調と色彩の調和と感覚に苦悩する。 モンティセリの「陶器壺の花」に魅了されたゴッホは、この作品を「色彩のオーケストラ」と表現している。 ゴッホもまた、「花瓶の花」を描いている。 ゴッホの描く花を見る時、私もまた、花を描くことに憧れを抱く。 子供の頃に置き忘れた心の揺れが再び目を覚まし始めた。 美しいと感じた瞬間のときめきを風化させずに守りたいという感情だけのために… この鮮やかな赤は、ゴーギャンの影響だろうか… 高く伸びた麦の穂とオレンジと空の青とのコントラストが好きで、ハンカチを買った。 綺麗な絵を描く画家の優等生的存在だと感じていたルノワールだけれども、この絵を見たとき、これは私にとっっての楽園のように感じた。 「ソレントの庭」が絵の題名である。 精神療養院で過ごした短い期間に描かれた絵である。 ゴッホは、手紙で意外に明るく元気なのだと書いている。 友人を待つ間に描い絵だという。 短時間でこれだけの絵が描けることにも驚く。 ゴッホの絵も没後に評価されたものが多い。 純粋に描きたいと思う気持ちが作り上げるものだからこそ、こころを打つのかもしれない。 今、兵庫県立美術館で開催されているゴッホ展だ。 ゴッホに限らず、彼に影響を与えた画家の絵も素晴らしかった。 初めて、図録というものを欲しいと思った。 糸杉は、やはり、格別の輝きを放っていた。 今回の展示では、手紙の内容と照らし合せて鑑賞できたので、画家の心境も同時に絵の中にみることができた。 絵も音楽と同じように、感覚器官だけでとらえているわけではないということを、しばらく忘れてしまっていた自分自身の感覚を呼び起こすいい機会にもなった。 ずっと変わらないと思い込んでいる自分が知らない間に何かを失いかけていたからだろうと思う。 思い込みはだれにでも起こっているのかもしれない。 そのことに気づかせてくれる何かが時には必要だ。 にほんブログ村 別窓で開きます 日常の小さなできごとを愛する生活
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最終更新日
2020年02月07日 09時41分28秒
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