カテゴリ:オペラなど、クラシック音楽
1984年アカデミー賞を総なめにした名作。
昔見た記憶があるのですが、その時はモーツアルトやコンスタンツィ バリバリのアメリカ英語に違和感を感じてあまり好きになれませんでした。 今見直すとそんなことは気にならないくらいとてつもない傑作ではないですか! まず音楽がすばらしいです。監督のミロス・フォアマンが、あくまでも主役は モーツアルトの音楽なので、役者の名前が前面にでないようあえて無名の俳優を 使ったそうですが、冒頭の「ドンジョバンニ」の出だしの和音からオープ ニングの交響曲25番、死の場面のレクイエムからエンディングのピアノコン チェルトにいたるまで、実にモーツアルトの音楽が効果的に使われています。 というか、主役そのもの。 モーツアルトのお父さんの象徴である黒いマントの場面では、必ずといって いいほど「ドンジョバンニ」の序曲の出だしが使われていて、本当にゾクゾク してしまいます。 セットも衣装も豪華で、さすがハリウッド映画。 それから「後宮からの逃走」「フィガロの結婚」「ドンジョバンニ」「魔笛」 といったオペラがこれでもか、というくらいでてきて、しかも相当派手! シカネーダー一座が演じるパロディオペラも相当凝っています。大衆劇場での 観客の反応も、宮廷での貴族達とくらべると面白いです。 主演だけでなく、チョイ役にいたる登場人物一人一人がとても個性的で印象 深いので、何度見ても新しい発見があります。まず最初に自殺しようとした サリエリを発見するお菓子をつまみ食いする召使のおじさんの二人。聞き役に なる凡人を代表する神父。 カリスマオーラを発しているヨーゼフ二世はもちろん、皇帝のとりまきの オジサン達。サリエリの来客がやたらに気になる若い召使。「魔笛」の夜の 女王みたいなキンキンしたコンスタンツィのお母さん。マリリンモンローみ たいなソプラノ歌手のガブリエリ。サリエリのスパイであるモーツアルト家の メイド(この女の子の演技がうまい!) 「魔笛」の公演中に倒れたモーツアルトを心配そうに見る三人の侍女、三人の童子達。 2004年に発売されたディレクターズカット盤は、未公開シーンや、メイキング 映像がついています。 18世紀のウィーンという設定なのですが、ロケは当時共産国であるチェコの プラハで行われました。プラハの街は18世紀そのもののたたずまいで、共産国 だったためか広告の看板さえもなくて、街灯を隠すだけでよかったとか。 場面では膨大な数のろうそくを灯し、撮影では常時消防隊を待機させて いたとか。 歌劇場は実際モーツアルトがドンジョバンニを初演した場所で、脚本のピーター シェーファーが感動のあまり泣いてしまったとか。 ちょっと驚いたのは、コンスタンツィ役は最初はエリザベスベリッジではなく、メグティリーだったということです。メグティリーといえば「アグネス」 という映画で、修道院で妊娠して出産するというショッキングな尼僧役で、ちょっと東洋的な顔立ちの、とても目力のある女優ということで知っていたのですが、まさかコンスタンツィの役をもらっていたとは!フォアマン監督も随分 期待していたようですが、ロケの期間中に怪我をしてしまって急遽一週間で 決めた代役がエリザベスベリッジなんだそうです。 確かにエリザベスベリッジ演じるコンスタンツィはとても可愛いけれど、 浪費家で悪妻といわれた一面しか見出されないように感じました。メグティリーだったらどんなコンスタンツィだったんでしょうねえ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年01月25日 11時54分35秒
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