ユナイテッド93
2001年9月11日に忘れてはいけない悲劇が起こった。アメリカで4機の旅客機がハイジャックされる。アメリカン11便がワールド・トレード・センター北棟に、その後にユナイテッド175便が南棟に激突した。3機目のアメリカン77便も国防総省・ペンタゴンに墜落する。そして、4機目のユナイテッド93もどこかに向かっていた・・・。この映画が実話であることは周知の事実だが、ここまで詳細に描かれているとは、少し驚いた。機内も忠実に再現され、配役も本当の乗客、乗員に似ている役者を起用している。ここまで出来るのは、全員の遺族に協力してもらうことが出来た事と、実際の管制官達も協力して、なるべく忠実に描くことができたからである。実際に飛行機の中の人々が、ハイジャックされた後に機内から携帯などを使って、家族へ最後のメッセージもそのまま使われている。どこまでもが忠実だ。しかし、飛行機の中にいた人は全員死んでしまっているので、実際に飛行機の中で行われたことは想像でしかない。それでもこれが真実だと胸を張って言えるだけの説得力を持った映画であることには変わりはない。前半部分は飛行機がハイジャックされたかもしれないと言うくらいの感覚で話が始まる。しかしその不安が徐々に加速していく。1機が2機となり、アメリカの上空にいる4000近い数の飛行機からどれがハイジャックされているのか分からない。ただアメリカン11便だけはハイジャックされているに違いないという結論に達する。管制センターは横の繋がりをもって情報のやり取りをしていくが、連邦航空局や空軍とは連携が上手くとれないばかりか、バラバラの動きを始める。唯一管制センターだけが細かい指示を出してハイジャックされた旅客機を懸命に探す。しかし管制センターから見えるワールド・トレード・センターに旅客機が突っ込む。だが、この時点ではまだ誰もハイジャックされた飛行機とは結びつかず、いろんな情報が交錯する。そして2機目が激突。その少し前にユナイテッド93がハイジャックされる訳だが、この時点ではまだ乗客達はハイジャックの意図が分からない。しかし犯人にばれないように家族と連絡を取ると、自分達の乗っている飛行機以外に3機がハイジャックされて、それぞれが目標に激突するという自爆テロが起こっている事を知る。自分達が乗っている飛行機もターゲットに向かっているに違いない・・・。そのとき、乗客たちが勇気を持って行動を取った・・・。確かにノン・フィクション映画の要素が限りなく多いフィクション映画だが、どちらかと言うとドキュメンタリー映画に近いのではないだろうか。もちろん役者が演じているのだが、カメラワークや映像の切り取り方はストーリーの再現よりも臨場感溢れるライブ映像に近い仕上がりになっている。前半から続く緊迫した映像はとても作り込んだ物には見えてこない。監督のポール・グリーングラスは天才だと思った。僕の32年間で、最も衝撃を受けて映画の上位にランキングするくらいの衝撃を受けた。9月の「JR名古屋駅」のトピックスが更新されています。そちらもどうぞ。