明日の記憶
「明日の記憶」を観てきました。先週は結局3本も映画を観ましたが、ポップコーンも大量に食べました。めちゃんこ泣けました。号泣です。とても悲しい、しかし美しい映画でした。49歳のおっさんが病気になって進行していく話です。そこには「頭の中の~」などのように、純愛だとかそう言う要素は一切ありません。敢えて言うなら家族、夫婦の愛がありますが、ただ一人の人間が病気に侵されていき、妻が支えていくというシンプルな内容なだけにとてもリアルであり、だからこそ観ている人間に悲しみと恐怖を与えていくのだと思います。渡辺 謙の演技はさすがの一言。細かい表情の動きや言い回しなどは洗練されたものを感じますね。それにしても、映画初主演と言うのには驚きました。意外です。堤幸彦監督は「トリック」や「ケイゾク」などの監督で、大好きな監督です。こう言う社会派な物は珍しいですが、映像の妙とも言うべきかそのテクニックはさすがですね。以前だったら、きっとこんな映画は観てないです。病気になっていく人間とそれを支える家族の物語なんて、聞いただけでも暗い話でウンザリです。歳を取ったと言うことなんでしょうか?描かれている世界観や登場人物の心情が痛いほど理解出来る様になったんです。そこで描かれているのは大人。しかも中高年の部類に入る人たち。自分はまだそこまでの年齢ではないですが、だんだんと近づいてはいます。以前は感じなかった事も感じるようになりました。最後のシーンで、妻である樋口可南子が、あまりの出来事に、それまで気丈に頑張っていた気持ちが壊れて泣き出してしまうんですが、その後にフッと笑うんですよね。全てを受け入れて、包み込んでいく様なその笑顔がまたなんとも切なくて切なくて・・・。