役割をさがす
子供を預かって、送り届けるとき、いつまでこの関係が続くのだろうと考える。息子や娘が自分の世界を持って、父親より友人を優先するようになるのは、もう数年先だろう。父親の役割を終えるわけではないが、自分以外の何ものかにたいする役割を今のうちから見つけたいと思う。今の仕事の中では見つからない。見つけようとしないからだ。自分を活かす場所。どこを探しても見つからないのかもしれない。また自分が望むなら、どこにでも役割はあるのかもしれない。子供を元妻にかえして、夜の道を川づたいに車を走らせていると、パチンコ店のネオンがぼうっと闇夜に浮かんでいた。それは不夜城のように明るく、川面にも同じ姿を映していた。その川面に映る不夜城を眺めながら、「自分を活かす場所」について考えが及んだのだった。