『負けを生かす技術』為末大 著
彼の本はトレーダーにとても参考になる。元陸上メダリストである彼の言葉は無論すべて体験から紡ぎだされているもので、世界の頂点を目指す、あるいは意識していたからこそ得られた教訓の数々はとても価値あるものだ。「ほとんどの物事は、揺れていて安定しないものだ。無理に安定させようとし過ぎることが、むしろパフォーマンスを低下させてしまうこともある。調子の良し悪し、結果の良し悪しは、時に起こるものである」今年これまでの自分のパフォーマンスに焦れていた心にスッと入ってきた。本当にその通り。いまはパフォーマンスを高めるとき。安定を求めているわけではない。であるならば、不調を受け入れよう。「一番価値があるのは、夢中でいられる時間なのだ。勝つことができたことよりも、勝とうとしていたときが報酬だった」去年の自分よりも成長したトレーダーになりたいと常々思っているが、それが一途でいられる理由であり、価値ある時間なのだ。途上であることに価値がある。だから、金を失うことよりも、投資に飽きる、熱意をもてなくなることの方が怖い。示唆に富んだ彼の言葉の数々に支えられたり、刺激を受ける。負け続けた彼だからこそ書ける一冊だ。