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観察映画第8弾 想田和弘 「THE BIG HOUSE」 元町映画館
まず、チラシのキャッチコピーがすごいですね。 ついに想田和弘がアメリカで観察映画を撮った。観察映画史上最高のスペクタクル! 観るまでに、何度か予告編とも出会っていました。 1.被写体や題材に関するリサーチは行わない。 で、映画が始まりました。1時間30分を経過したところで、一度だけ時計を見ました。それ以外は、ずっと画面にくぎ付けでした。観終わって、不思議だと思ったことが一つありました。画面に翻弄され、まあ、夢中になってみていたわけなのですが、「驚いた」という印象を持つシーンがなかったことです。 アメリカで一番大きなフットボールスタジアム、だからまあ、世界一なんでしょう、をドキュメントしているフィルムなのですが、「観察映画」の常で、映像の解釈は見ているぼくにゆだねられています。 この映画では、観客の、その場の臨場感をいかにつくるか、観客をその場にいかに引き込むかが想田和弘の編集の肝のようです。 ぼくは、監督の意図通り、映画の画面に引き込まれて見て、これが、巨大スタジアムの、ではなく、アメリカそのもののドキュメントだと感じました。 にもかかわらずなのか、そうだからなのか、「ええーっ、そうなん?」とか「はー、そうか、すごいなー」とかいうシーンはなかったと感じました。 ただ、一か所、映画が始まってすぐ、「国歌」が、画面には訳詩付きで、10万人の大合唱で流れ、「星条旗」がはためくシーンにグラッときただけです。予想通りの展開なのですが、国技館の「君が代」とは違っていました。 「やっぱり歌やな。自由の国、勇者の故郷か。これが、アメリカなんや。」
それででしょうか、自分が映画の中に何を見ているのか、はっきりわかった気がしました。トランプの選挙カーが通ったり、クリントン支持のTシャツの女性が映ったりする。けれど、それは表層であって、アメリカが、まずあるのです。きっと。 見ていて、だんだん冷静になっていきました。驚きや、感動じゃなくて、じっと見ている自分を感じるのです。想田監督が編集で意図した物語を見ていたのかどうかはわかりません。しかし、映画を、そして、映画を通じてアメリカを「観察」していたことは間違いないと思います。 「なんや、アメリカ国歌って、やっぱ、軍歌やったんやんけ。」 ちょっと、負け惜しみのようですが、ぼくなりのアメリカ再発見です。 見終えたぼくは、まあ、そんなことをつぶやきながら、元町の街に出ました。なんだか、たくさんの人が歩いていて、歩きにくいほどでした。南京町もごった返していました。裏路地にまわって、小さなお店を覗きながら大丸の前に出ました。 日差しが、やっぱり、残暑でした。スクランブル交差点を渡っていると、甲高い中国語が聞こえてきました。 「アメリカがあり、中国がある。イヤハヤ、ナントモ。えらい時代や。」 監督の想田和弘は「観察映画」に関してこんな本も書いています。それはまた「読書案内」で。 ところで「港町」の感想はこちらをクリック。 2018-08-25 追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑) にほんブログ村 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.03.03 21:23:42
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