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カテゴリ:読書案内「近・現代詩歌」
伊藤比呂美「あのころ、先生がいた」(よりみちパンセ:イーストプレス・新曜社)
風変りで、不思議で、恐ろしい詩を書く詩人がいます。伊藤比呂美さんです。まず彼女の代表的な詩について紹介すべきところなのですが、しかし、それは容易ではありません。 父は老いて死にかけです そんな言葉で始まる彼女の評判の詩集は「とげ抜き新巣鴨地蔵縁起」(講談社文庫)といいます。みなさんがお読みになれば、まあ、ぼくもそうでしたが、小説だと思うでしょうね。何しろ文庫本で300ページを超える長編詩なのです。ぼくには、異様に面白かったのですが、今ここで、どう紹介していいのかわからないのです。 そのかわり、というのもなんだけれど、「よりみちパン!セ」(イーストプレス・最近では新曜社)という中学生から高校生向きのシリーズがあるのですが、その中に彼女が書いた「あのころ、先生がいた」(よりみちパンセ:イーストプレス・新曜社)というエッセイ集があります。 その一節を紹介しましょう。 組替えの後、しばらくして、みんなの友人関係が落ち着いたとき、あたしはアベさんに、気がつきました。キムラさん以上に何もできない、ウラタさん以上にしゃべらない子で、まったくひとりぼっちだということ。 それから彼女が何を考えたのか、知りたい人は本を手に入れて、続きを読んでください。小学生の頃から高校生時代まで。先生との出会いの思い出が描かれています。エッセイのスタイルで書かれている文章ですが、伊藤さんらしい、ある純粋なこころが表現されていると思います。彼女は、まあ、こんな詩人なのです。(S) 2018/06/07 ボタン押してね! ボタン押してね! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.08.05 18:44:40
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