|
カテゴリ:映画 日本の監督 マ行・ヤ行・ラ行・ワ行
三宅唱「きみの鳥はうたえる」元町映画館
佐藤泰志の小説「きみの鳥はうたえる」が映画になりました。 観る前に読むか、読んでから観るか問題がまたしても勃発したわけです。柴崎友香と同様、ひいきの作家です。以前に読んだはずだったのですが、全く覚えていません。書棚を探すのですが行方がわかりません。そういうのって、贔屓というのかどうか難しいのですが、最近こういうことが多いのです。困ったものです。しようがないので、神戸駅を降りて、駅中の大垣書店で再購入してしまいました(笑)。 「おいおい、二冊目ちやうのん、これ。」 とか何とか、一人議論を戦わしながら、元町映画館へ向かいました。席について、文庫本の表紙カバーと映画のチラシがおんなじなのを見くらべてホッとしていると場内が暗くなりました。 人相の悪い青年が画面の中でウロウロし始めて、映画が始まりました。 「こいつが柄本佑か、弟はもっと人相悪いいうてたやつがおったな。これが、友達の静雄か。見たことある顔やな。一緒に住んどるんか。」 ヒロインの困惑(?)のアップで映画は終わりました。記憶に残るに違いない、いい顔でした。 チラシで柄本佑、染谷将太、石橋静河の名前を再確認し、納得して席を立ちました。 「そういえば、スーザン・ソンタグという人が「孤独は連帯を制限する、連帯は孤独を堕落させる(Solitude limits solidarity;solidarity crrupts solitude)って、言うてたというのを最近読んだけど、映画の中の人相の悪いきみ、柄本くん、あんたの姿を見ていて思いだしたわ。」 「あんたが、何かを拒絶してる姿に、なんや知らん、ものすご、グッときた。共感いうんかなあ。何があって、そうしてるんかはようわからん。でも、それは、例えば、青春とか、潔癖とか、そんなもんとちやうって、今でも思もてんねん。いっぺん拒絶と決めたら、拒絶や。結果的に、一人になっても、それはシャーナイ。幾つになってもや。そやろ。」 それで、映画の中の柄本君は120数えて、振り返って走り出しました。そこが小説とは違っていました。確か、原作では佐藤泰志君には走り出させるとこができなかったように思うのですが、三宅唱君は走り出させました。映画が小説を追い抜く瞬間がそこにあったのかもしれません。 でもな、それが、サイコーによかったで! ソンタグはな、あくまでも「安寧は人を孤立させる(Comfort is olates)」という前提で言うてんねんな。ぼくはな、あんたが走り出したのを見てて、『それで、どうすんねん!』って、アホみたいに目を瞠っててん。 人を好きになるというのは「solidarity連帯」とも「comfort安寧」ともちがうのです。で、何かと問われたら困るのですが、走り出すしかほかに方法がないことなのでしょうね。 映画館のカウンターを通り過ぎようとしたら、声を掛けられました。カウンターで知り合いの女性が笑っていました。元気そうで、何より。少し動揺して、トイレに行くのを忘れました。神戸駅まで歩きながら、トイレに行きたくて困りました。 トホホ‥・・・ 監督 三宅唱 追記2019・11・20 小説「きみの鳥は歌える」の感想はこちらをクリックしてください。 追記2020・01・09 偶然つけたチャンネルでこの映画をやっていて、見始めたら最後まで見てしまった。映画とは違う小説の結末も覚えているので、テレビでやっていることに、勝手なイメージが重なって面白かった。小説の結末で映画を撮ればどうなるのだろう。ラストシーンがイメージできない。映画の結末は、明るいわけではないが、まだ三人に未来があるように感じた。 追記2023・01・18 三宅唱の新作、「ケイコ、目を澄ませて」を観ました。主役のケイコは「君の鳥はうたえる」の柄本君でした。 押してね! ブログ村ボタン にほんブログ村 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.07.09 11:17:15
コメント(0) | コメントを書く
[映画 日本の監督 マ行・ヤ行・ラ行・ワ行] カテゴリの最新記事
|