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森達也「i 新聞記者ドキュメント」十三第7芸術劇場
久しぶりの十三徘徊ですね。お目当ては第7芸術劇場、映画は森達也監督が、今、話題の望月衣塑子さん、東京新聞社会部記者を追いかけた「i 新聞記者ドキュメント」です。 森達也といえば、オウム真理教を題材にした「A」「A2」、佐村河内守を題材にした「FAKE」なんかが評判ですが、書籍化されたものは読んだことがありますが、映画は初めてです。今回は森達也初体験というわけで、ワクワクしながらやってきました。映画館は結構混んでいました。 映画が始まりました。沖縄の現場取材のようですね。望月さんの仕事上の日常が追われて行きます。印象的だったのは、いつもトランクを曳きずっている事でした。まあ、何が入ってるんだろう、あんな大きなものを、という感じですね。 内閣官房の記者会見のシーンは、今やネット上では有名を越えている事件ですが、権力者が勝ち誇ったような表情をしてるのが、不快な印象を越えて、なんだか「気味が悪い」のですが、さほど興味を惹かれるわけではありませんでした。 首相官邸の周囲で、カメラマンの森さんに、執拗に絡む警察官の善意めかした顔も、言葉遣いも、同じでしたね。こういうことが、日常化していくときに、警察官って、自分のことをどう思うようになるのかとか考えてしまいます。命令があって、黙ってしたがうということなのでしょうかね。 最後のシーンは選挙演説のシーンでした。今日は大きなトランクは持っていないのかなと思って見守っていて、ようやく気付きました。 望月さんは、堂々と「一人」なんですね。堂々と「一人であること」を支えているものは何か?森達也はそれを撮りたかったに違いありません。 一人で立っている「望月衣塑子」のシーンで映画は終わりました。 映画館が暗くなって、チラシの真ん中に、朱書きの「i」があったことが思い浮かびました。小文字なんですね。なんだワカラナイ表情、その他大勢のひとを顎で指図して平気な目、私利私欲のしたり顔、そんなものが社会に充満し始めています。何だか、立派そうにふるまっている皆さん、どなたも、大文字の「I」を生きるのに、夢中なのかもしれませんね。 小さな「i」が「まともである」ことを支えるのは、、たぶん、「それはしない」という形で、誰もがこっそり持っている「小さなモラル」だと思うのですが、個々の小さな「モラル」は、その人ものですよね。だから、大文字の「I」に怯む必要もないし、「一人で立つ」こともできるわけです。 「一人」で立つ「小さな人」として、望月衣塑子を撮った森達也は、どうも、ただ者ではなさそうですね。 それにしても、一人で立っている望月さんの姿が寂しく思い浮かぶ「時代」になっていることに、なんだか悄然としてしまいますね。 十三の駅前で、今日は「酒饅頭」を、お土産に買いました。 監督 森達也 撮影 小松原茂幸 森達也 キャスト 望月衣塑子 2019年 113分 日本 2019・11・2・七芸・シアター7 no1 追記2019・11・29 フィクションのほうの藤井道人「新聞記者」の感想はこちらからどうぞ。 追記2020・01・01 2019年の年の暮れのことです、新聞などのマスメディアの「首相番」の記者たちが、総理大臣と、税金で、忘年会をして、ツーショットして喜んでいるという記事をどこかで読みました。嘘か本当か知りませんが、ありそうだと感じるところに、このドキュメンタリーが追いかけた「望月」記者の孤独の深さを感じました。 追記2020・10・18 なんと、「大物」の提灯持ちで成り上がった方が、超大文字の「I」の座を手に入れましたね。御機嫌取りをしながら世間を渡った人には、そうしない人間は邪魔です。「あほボン」では思いつけなかった、もっと「悪質な手口」が横行するのでしょうね。まあ、なった瞬間から始まっているようですが、こうなると、森さんや望月さんの仕事に、やっぱり期待してしまいますね。 にほんブログ村 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.07.17 08:19:16
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