1715423 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

ゴジラ老人シマクマ君の日々

ゴジラ老人シマクマ君の日々

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

プロフィール

シマクマ君

シマクマ君

カレンダー

バックナンバー

カテゴリ

カテゴリ未分類

(1)

読書案内「日本語・教育」

(21)

週刊マンガ便「コミック」

(84)

演劇「ナショナルシアターライブ」でお昼寝

(35)

徘徊日記「日帰りでお出かけ」

(62)

演劇「劇場」でお昼寝

(2)

映画「元町映画館」でお昼寝

(94)

映画「ちょっと遠くの映画館」でお昼寝

(26)

映画「シネリーブル神戸」でお昼寝

(90)

読書案内「映画館で出会った本」

(18)

読書案内「翻訳小説・詩・他」

(53)

読書案内「漱石・鴎外・露伴・龍之介・百閒・その他」

(23)

徘徊日記「垂水・舞子・明石」あたり

(53)

読書案内 「医者や科学者の仕事、まあ科学一般」

(27)

読書案内「現代の作家」

(100)

徘徊日記「お泊りでお出かけ」

(67)

徘徊日記「神戸・元町・三宮」あたり

(85)

読書案内「絵本・児童文学」=チビラ君たちへ

(48)

読書案内「社会・歴史・哲学・思想」

(77)

読書案内 「芸術:音楽・美術・写真・装幀 他」

(30)

読書案内「近・現代詩歌」

(54)

徘徊「港めぐり」

(4)

バカ猫 百態

(22)

読書案内「橋本治・加藤典洋・内田樹・高橋源一郎・他」

(18)

読書案内「水俣・沖縄・アフガニスタン 石牟礼道子・渡辺京二・中村哲 他」

(20)

読書案内「鶴見俊輔・黒川創・岡部伊都子・小田実 べ平連・思想の科学あたり」

(15)

映画「OSミント・ハーバーランド」でお昼寝

(2)

映画「こたつシネマ」でお昼寝

(13)

映画「パルシネマ」でお昼寝

(30)

読書案内「昭和の文学」

(25)

読書案内「BookCoverChallenge」2020・05

(16)

読書案内「くいしんぼう」

(9)

映画「Cinema Kobe」でお昼寝

(5)

週刊マンガ便「ちばてつや・ちばあきお」

(9)

週刊マンガ便「石塚真一・浦沢直樹・ハロルド作石」

(34)

週刊マンガ便「鈴ノ木ユウ・野田サトル」

(19)

ベランダだより

(151)

徘徊日記 団地界隈

(112)

徘徊日記 兵庫区・長田区あたり

(26)

徘徊日記 須磨区あたり

(29)

徘徊日記 西区・北区あたり

(10)

徘徊日記 灘区・東灘区あたり

(41)

徘徊日記 美術館・博物館・Etc

(5)

週刊マンガ便「吉田秋生・高野文子・やまだ紫」

(7)

徘徊日記 芦屋・西宮あたり

(11)

読書案内「大江健三郎・司修・井上ひさし・開高健 他」

(14)

読書案内「古井由吉・後藤明生・他 内向の世代あたり」

(3)

読書案内「谷川俊太郎・茨木のり子・大岡信 あたり」

(19)

読書案内「啄木・白秋・晶子 あたり」

(4)

読書案内「丸谷才一・和田誠・池澤夏樹」

(11)

読書案内「吉本隆明・鮎川信夫・黒田三郎・荒地あたり」

(13)

週刊マンガ便 「松本大洋」・「山川直人」

(13)

読書案内「リービ英雄・多和田葉子・カズオイシグロ」国境を越えて

(5)

読書案内「村上春樹・川上未映子」

(13)

映画 パレスチナ・中東の監督

(6)

読書案内「近代詩 賢治・中也・光太郎 あたり」

(7)

映画 韓国の監督

(25)

映画 香港・中国・台湾の監督

(37)

映画 アニメーション

(13)

映画 日本の監督 ア行・カ行・サ行 是枝・黒沢

(53)

映画 日本の監督 タ行・ナ行・ハ行 鄭

(26)

映画 日本の監督 マ行・ヤ行・ラ行・ワ行

(16)

映画 イギリス・アイルランド・アイスランドの監督

(41)

映画 イタリアの監督

(21)

映画 ドイツ・ポーランド他の監督

(24)

映画 ソビエト・ロシアの監督

(11)

映画 アメリカの監督

(99)

震災をめぐって 東北・神戸・原発

(3)

読書案内「旅行・冒険」

(4)

読書案内「本・読書・書評・図書館・古本屋」

(13)

映画 オーストラリア・ニュージーランドの監督

(5)

映画 フランスの監督

(49)

映画 スペイン・ポルトガルの監督

(10)

映画 カナダの監督

(5)

映画 グルジア(ジョージア)の監督

(15)

映画 ウクライナ・リトアニアの監督

(7)

映画 イスラエルの監督

(3)

映画 マケドニア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、クロアチア、スロベニアの監督

(6)

映画 オランダ・デンマーク・ベルギーの監督

(10)

映画 フィンランド・スウェーデン・ノルウェイの監督

(6)

映画 トルコ・イラン・カザフスタンあたりの映画監督

(12)

映画 ギリシアの監督

(3)

映画 アルゼンチン・ブラジル・ペルー・チリの監督

(6)

映画 ハンガリー・ルーマニアの監督

(5)

映画 アフリカの監督

(3)

映画 スイス・オーストリアの監督

(3)

読書案内 戯曲 シナリオ 劇作家

(1)

読書案内 ジブリの本とマンガ

(5)

週刊マンガ便「小林まこと」

(9)

読書案内「野口武彦・前田愛・橋川文三・藤井貞和」

(2)

映画 インド・ネパール・ブータン・アフガニスタン・タイ・ベトナム あたりの監督

(5)

週刊マンガ便 キングダム 原泰久・佐藤信介

(17)

読書案内「川上弘美・小川洋子・佐伯一麦」

(9)

読書案内「立花隆・松岡正剛」

(5)

日記/記事の投稿

コメント新着

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2020.02.22
XML
​​​​ 《2004書物の旅 その14》
 岩田靖夫「ヨーロッパ思想史入門」(岩波ジュニア新書)​


「西洋史を勉強するのならギリシア哲学とキリスト教思想の二つをまず読みなさい。その二つがわからなければ、ヨーロッパの「歴史」はおもしろくならないよ。」
 ​もう三十年以上も前、進学するときに高校の先生からもらったアドバイスの言葉です。結局、まじめに勉強しなかったった結果、何故か国語の授業をしているのですが、最近、「あのころこんな本と出合っていたら・・・」と思うような入門書を読みました。
​ 岩田靖夫「ヨーロッパ思想史入門」(岩波ジュニア新書)という本です。もちろんここの図書館にもありますよ。
 第一部「ギリシアの思想」、第二部「ヘブライの信仰」、第三部「ヨーロッパ哲学の歩み」とヨーロッパ思想がギリシアの神話から哲学とキリスト教の基礎の上に成り立っていることを踏まえた三部構成になっています。しかし単なる概説ではありません。
 たとえば第二章「ヘブライの信仰」において、ヨーロッパ思想のもっとも大切な概念のひとつ「自由」について、キリスト教の信仰の中から説き起こす展開におもわず眼をみはる気分をぼくは味わいました。その部分を少し紹介してみます。
 「私は、私の話を聞いているおまえたちに言う。おまえたちの敵を愛しなさい。おまえたちを憎む者たちに善いことをしなさい。おまえたちを呪う者たちを祝福しなさい。おまえたちを侮辱する者たちのために祈りなさい。お前の頬を打つ者には別の頬をも向けなさい。」
 これは、イエスの教えとしてあまりにも有名な「敵を愛せ」のくだりである。イエスは明確に復讐を禁止している。たとえ殺されるようなことになってもである。
 しかし、これはただの無抵抗主義ではない。無抵抗主義という言葉のうちには、嫌だけれども我慢するというニュアンスがある。イエスの言っていることは、そうではなくて「私たちを攻撃するものたちに善いことをせよ」ということなのである。
​​ 「愛せよ」には「アガペーagapate」という言葉が使われているが、この言葉は、相手の善悪にかかわらず、相手に善行を贈り続ける神的な愛について用いられる言葉である。ところで、このことは、じつは、善行の本質から言われていることなのである。​​
​ ここまで読んで、キリスト教の「善行」と「自由」にどんな関係があるんだろうといぶかる人もいるかもしれませんね。あせらず次の引用を読んでみてください。
​​ 「おまえたちを愛する者たちを愛したとしても、おまえたちにどんな善意charisがあるのか。なぜなら、罪人でさえ自分たちを愛してくれる者たちを愛するからである。たとえ、おまえたちに善いことをしてくれる者たちに善いことをしたとしても、おまえたちにどんな善意があるのか。罪人もまた同じことをしている。取り返すことを期待して貸したとしても、おまえたちにどんな善意があるのか。罪人もまた同じものを取り返すために、罪人に貸している。だが、おまえたちはおまえたちの敵を愛しなさい。何もお返しを期待しないで、善いことをなし、貸しなさい。」​​
​ この引用部分で著者が「善意」と訳したcharisの意味について「新訳共同聖書」は「恵み」と訳しているそうです。しかし、岩田靖夫は「善意」と訳すべきだと主張しています。「恵み」と訳すと神から差し向けられた好意という意味になってしまうのですが、ここでは互いに対等な関係をあらわす言葉である善意と訳すべきだとというのです。
 なぜ「善意」と訳した方がよいのか。それは、ここにキリスト教における「自由」の問題が浮上してくるからだというのが著者の意見です。
 ほんとうに、もし神が存在するとしたら、神はなんと忘恩者に親切なことか。実際、この世界には、神は存在しないと考えている人びとは山のようにいるし、戦争をおこしたり、大虐殺を犯したり、他者を奴隷化して搾取したりする人々で満ちあふれているというのに、神はまるでどこにも存在しないかのようにすっかり姿を隠し、復讐もせず、「善人にも悪人にも、太陽を昇らせ、雨を降らせて」善意を贈りつづけているのである。
 神は、なぜヒトラーに復讐しなかったのか。なぜ、神の名を用いて驚くべき人殺しをした人々にさえ復讐しなかったのか、それは神が極限の無力だからである。
 ではなぜ、極限の無力なのか。それは、自由なものを殺すことはできても、同化したり支配したりすることは、誰にもできないからである。自由なものには呼びかけることができるだけだからである。
​​ そういう意味で、善行は常に一方的でなければならないのである。他者に向かうこの善行が応答を呼び起こすか否かは、他者の自由にかかっている。応答は他者の自由の深淵から湧き上ってくるもので、私たちが外側から強制できることではない。​​
​ おわかりいただけたでしょうか。生きている人間の根源的なありさまとは、こんなふうに「自由」であるということなのです。ヨーッロッパの思想はこの自由との格闘の道を歩んできたという訳です。
 別の案内で紹介した​前田英樹「倫理の力」(講談社現代新書)​
が主張していた、ぼくたちが知るべき「恐れ」の対象がここにあるようにぼくには思えるのですが、どうでしょうか。
 たとえ受験用に勉強するにしても、「倫理」や「世界史」の授業が本格的に始まる前に是非お読みただきたい一冊だと思います。
S
追記2020・02・22
《2004書物の旅》​​(その1)​​・​(その13)​・(その15「倫理という力」)はここをクリックしてみてください。
PVアクセスランキング にほんブログ村
にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へ
​​ボタン押してね!​​
にほんブログ村 本ブログへ
ボタン押してね!

​​





ゴジラブログ - にほんブログ村​​






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2020.12.11 08:54:27
コメント(0) | コメントを書く
[読書案内「社会・歴史・哲学・思想」] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.
X