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カテゴリ:読書案内「社会・歴史・哲学・思想」
ブレイディみかこ「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」(新潮社)
「ハヤリ本」は読まない主義なのですが、ブレイディ・みかこさんの「そろそろ左派は経済を語ろう」を読んで、この本を図書館で予約しました。予約した時に待機の順番が100番を越えていました。昨年2019年の秋のことだったのですが、順番が回って来たのは2020年の3月の中旬でした。読み始めたら、すぐに読めました。読み終えた時刻は午前三時過ぎでした。なるほど、流行るわけだと、納得しました。 試しに「ブクログ」という読書サイトを覗いてみて驚きました。なんと、登録している人が4000人を超えていて、500人近い人がレビューを書いているのです。 何がそんなに評判なのだろうと、レビューを読みました。まじめに書かれたレビューがたくさんありました。ぼくがここで書き足さなければならないことはもう無いようです。どうぞ、そちらをお読みください。(「ブレディみかこ」をクリックしていただけば読めます。ついでですが、ぼくの書棚は「simakumakunの本棚」をクリックしていただければいいかと。) とはいいながら、一つ書き加えたいことがあります。このエッセイの中で、著者は息子の学校の、多分、英語で書けば「teacher」のことを「教員」と書いていて、「husband」のことを「配偶者」と書いています。たったそれだけのことなのですが、そこにこの著者の見識が光っていると思いました。 女性の配偶者のことを「嫁」と呼んではばからないタレントがテレビ画面で「フェミニスト」ぶったり、自ら「教師」と名乗る教員が、教室で「平等」を口にするというのが、この国の現実なのですが、誰も疑いません。むしろ、世間の風潮として、そういう言葉遣いが若い人たちの間にも広がっています。 「日本語」が通じない国で暮らす著者が、日本の出版社である新潮社のPR雑誌「波」に書いた、おそらく「日本語」の原稿に、「配偶者」・「教員」と書くには、やはり勇気がいったと思います。その勇気が彼女のイギリスの暮らしを支え、「配偶者」や「息子」からの信頼を勝ち得ているように感じました。 本当は、もう一つ書きたいことがあります。というのは、このエッセイを読む一週間ほど前に「レ・ミゼラブル」というフランス映画を見たのですが、感想がうまく書けなくて困っていました。ところがこの本を読んでいて、ヨーロッパの先進国の「貧困」について教えられ、著者が鋭く指摘する「共感・シンパシー」と「理解・エンパシー」の違いの大切さについて気付かされて、自分が感じていたことがわかった気がしたのですが、それは「レ・ミゼラブル」の感想で書こうと思います。できれば、また、そちらをお読みいただければと思います。(題名をクリックしてみてください) 最後にもう一言付け加えれば、根性のまっすぐしている人の文章は「さわやか」だということでした。久しぶりに爽快な読書体験を味わえる読書でした。 ボタン押してね! ボタン押してね! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.05.24 23:57:20
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