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カテゴリ:読書案内「近・現代詩歌」
岡井隆・馬場あき子・永田和宏・穂村弘「新・百人一首」(文春新書)
どうしてこの本を読もうと思ったのか、よくわからないのですが、新コロちゃん騒ぎの間に図書館に予約していました。「新・百人一首」という書名の企画は、多分これまでにもあります。 ぼくが知っているものでは丸谷才一「新・新百人一首(上・下)」(新潮文庫)ですが、丸谷の企図も、それ以外の試みも古典和歌が対象でした。 本書の新しさは、明治から現代までの歌人100人です。近現代の、特に、比率として戦後の歌人の短歌を多く選んでいるところが特徴です。 歌を選んでいるメンバーも、御存命の歌人としては、最もメジャーな方たちで、文句はありません。 選歌の基準について馬場あき子さんは「カルタにして取れる歌」とおっしゃっていて、教養としての現代短歌というのでしょうか、楽しく読めるアンソロジーになっているのかもしれません。 しかし、近現代、特に現代短歌を「カルタ会」の場で読み上げるのは、なんだか自己矛盾を感じさせるのですが誤解でしょうか。少々「かったるい 」、まあ、平和なうたが多いような気がしました。 興味をお持ちの方は、どんな百人のどんな歌が選ばれているのか、手に取ってお読みいただくのがよろしいのではないでしょうか。 「というわけで」、というわけでもありませんが、我が家の同居人チッチキ夫人と二人でこの本の中に引用されている歌から十首づつ選んでみました。二人の十人一首というわけで、二十人一首ですね。 生まれの早い順に並べてみるとこうなりました。 江戸 やはり近代短歌といえばこの人を外すわけにはいきません。ただ一人の「江戸」生まれでした。年齢は歌人が亡くなった時の御年です。下段のカッコは所収歌集、「クマ」は選んだ人です。 明治 斎藤茂吉が石川啄木よりも年上だったことに驚きました。白秋と啄木のこの歌は満票(二人の、ですが)でした。 この辺りの歌は仕事でなんども出会っています。何度も読むということは、好きになるということとつながっているのでしょうか。 大正 山崎方代という人は「ほうだい」と読むそうですが、男性歌人です。「口語」というのでしょうか、ことばが「やわらかい」のが印象的です。 塚本邦雄の歌に初めて出会った時の驚きは今も忘れませんが、これを国語の授業で扱うのは至難の業でしたね。 昭和(戦前) 寺山修司の「レトリック」と、岸上大作の「清冽」が、二十歳の頃の「短歌」との出会いの記憶です。特に岸上の「意思表示」は単行本を買ったように思います。それにしても、21歳の「青年」だったのですね。 ぼくは「遅れてきた青年」でしたが、そういう時代だったのでしょうか。 昭和(戦後) 同時代の歌人ですね。人気の俵万智さんや加藤治郎さんが入っていませんが、「新・百人一首」には入っています。チッチキ夫人が花山多佳子さんや島田修二の歌を選んでいるのに、何となく納得しました。 水原紫苑さんは、最近のぼくのひいきですが、還暦を越えていらっしゃるのに驚きました。 並べ終わって気づきました。二十一首ありますね。はははは。というわけで、「二十一人一首」、お楽しみください。 ボタン押してね! ボタン押してね! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.12.01 09:28:35
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