「100days100bookcovers no30-2」(30日目その2)
松尾匡『ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼』(PHP新書)2、2冊目は松尾匡『ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼』(PHP新書)です。
「リーマンショック」や「東日本大震災後の復興経済政策」、「アベノミクス3本の矢」とか、「日本人一人当たりの借金1000万円」とか騒がれるとちょっとくらいは勉強しないとと数年前に手に取った本です。
ご周知でしょうが、「ケインズ」は、「不況」のときには公的介入の必要を唱えた人で、「ハイエク」は市場経済の働きをすばらしいとし、公的な介入に強く反対し続けた人です。
どっちも一長一短、現実には、あっちに行ったりこっちに行ったりしてバランスを取ろうときたのでしょうか。
著者松尾匡に言わせれば、あっちからこっちに行くべきものと、行ってはならないものを見分けなければならない。今までの政策は間違っている。一番の主張をザックリといえば、
「どちらの政策をとるにしても、『リスク・決定・責任の一致が必要だ』」
ということです。
「本当に社会のニーズに合うかどうかわからないリスクのある決定をする人は、本来そのリスクに応じて責任をとるべきである。」
もし、その責任をとる必要がなく、うまく行った場合のメリットばかりがあるならば、管理者はいくらでも冒険的な決定をすることになる。ソ連型システムが崩壊したのも、「そごう百貨店」が破綻したのも、同じ理由だと書いています。
「福島第一原発」事故でも、東電は国に助けてもらい(国民の電気代から)、被災者への賠償をするために絶対倒産しない会社になっています。大きすぎる責任はとらなくていいという見本ですね。
原発のコスト、経済的メリットも市場に任せるのなら、原発を動かしている主体が廃棄物処理迄考えてリスク決定責任を取るべきです。
もちろんうまく処理できるのならその主体が得る報酬は多くて当然だと思いますが、リスクが大きすぎて責任主体を引き受けられないのなら、(そもそも1万年生きるものがない以上は、責任はとれないのですが)原発は撤退するビジョンをもつべきではないでしょうか。
(ここまでが、「ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼」の紹介です。この記事「100日100カバー30日目」は「その3」に続きます。長いので分割して掲載しています。前後に関心をお持ちの方は「その1」・「その3」をクリックしてください。)E・DEGUTI・2020・07・14
追記2024・02・02
100days100bookcoversChallengeの投稿記事を 100days 100bookcovers Challenge備忘録 (1日目~10日目) (11日目~20日目) (21日目~30日目) (31日目~40日目) (41日目~50日目)というかたちまとめ始めました。日付にリンク先を貼りましたのでクリックしていただくと備忘録が開きます。
にほんブログ村